あの春、君と。 (ページ20)

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北｢玉がせっかくデザインした衣装だし

元の状態で着たかったなー｣

｢え、衣装って全部玉森さんが

デザインしてるんですか？｣

北｢そうだよ。あ、玉といえば

キャップかぶってたの見た？

俺思わず写メ撮っちゃった(笑)｣

そう言いながらケータイを見せてくれる。

｢キャップかぶってるの珍しいんですか？｣

北｢いつも絶対ハットだからさ｣

へー

その写メでもキャップの上から

ピンクのパーカーのフードをかぶっている。

北｢キャップ姿見られるの嫌だから

フードかぶってんの。可愛いよね(笑)｣

隠すためなの？！

理由を知ってしまうと

どんどん可愛く見えるから不思議だ。

｢ふふ(笑)可愛いですね。｣

北｢ね(笑)｣

その後もしばらく

色々な話をしながら楽しい時間が過ぎた。

もうそろそろお開きの時間だねと

誰かの声が聞こえた。

北｢Aちゃんはさ

地方公演も来てくれんの？｣

｢えーっと、、その予定は今の所ないです｣

北｢あ、そうなんだ。

じゃあ連絡先交換しとく？｣

あまりに自然な流れだったため

そうですね、と何も考えずに

連絡先を交換した。

一緒に帰っていたスタッフさんとも別れ

一人電車で座りながら

この数日を振り返る。

お酒のせいもあるけれど

心地よい疲労感だった。

明日からは普通の営業だー

なんて考えていると

ブブッ

とケータイがメッセージを

受信したことを知らせる。

見ると北山さんからだ

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お疲れ様。色々ありがとね。

また機会があったら飯行こ

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チャラいー(笑)

社交辞令なのは分かっているが

今日1日の行動やトークの展開を見てると

この人絶対モテる。

さすがだわー

アイドルがみんなそうじゃないと思う。

だからこそ北山さんのその社交性に憧れる。

家に着き、当たり障りのない返信をし

酔っていたのでいつもは湯船につかるが

今日はシャワーでいっか。

もうここらへんの記憶は次の日にはなかった。

それぐらい満たされた数日だった。

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