死に囚われた人【第五人格】 (ページ42)

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「無理ゲーじゃん吊ってくれ」

「いい判断だ」

無常は板を割って私に近寄った。そしてそのまま…殴…殴…？
いや殴れよ。焦らすな。

「早く」

そう言って腕を広げると無常は殴るでもなく私の脇に手を入れぐっと持ち上げ…？何してんの？
えっ？ちょっと理解できない。てかなんでその持ち上げ方で簡単に持てるの？ゑ？

「軽いな、そして小さい。」

「悪かったねチビで！」

こいつ小さいって言いやがったぞ。小さいって。気にしてるのに。
腕の力を抜いて足を揺らす。あわよくば落としてくれ。

「むじょーっていっつもこんな事してんの？」

「こんな事…？嗚呼、今までした事ないぞ」

＿人人人人人人人人＿
＞ないんかい＜
￣^Y^Y^Y^Y^Y^Y^￣
てっきり新しいサバイバーが来る度にこうしてるのかと思った。違うのね。じゃあなんで？？
いつの間にか小脇に抱えられステージを歩き回っていた。ああこれ逃がしてくれるやつですか。いやゲートから出せば良くない？お散歩ってやつ？
今日はやけに疑問符が多いな。

「むじょーさーん、いつ逃がしてくれるの？」

「ハッチが見つかったらだな」

「なんで？ゲートで良いじゃん」

「背景推理」

「ありがとうございます…」

どうやらマッチングルームでの会話を聞かれていたらしい。ハッチ逃げのやつ終わんない、って言ったから。わざわざ探してくれてるんだとか。
これまで4箇所見たのにも関わらず無いとか。どんだけ運ないの。

「あとどこー？」

「工場北の最果てだけじゃなかったか、残りは」

「じゃあ早く行こうよ。白い方に代わればいいんじゃない？その方早いでしょ」

と言ったが無視された。ぴえん。
さっき見たのがツリーゲート前の所だから遠いね。

話しながら(無常が)歩いてたら見つかったようで、そばに降ろされた。あー楽だった。

「じゃーね無常さん。次は逃げれるように頑張るよ」

「嗚呼、精々頑張れよ。まぁ無理だとは思うが。」

それと、と言って無常は屈み、私の耳元に口を寄せた。

「俺の名前は范無咎、だ。白い方は謝必安。覚えておけ」

とん、と背中を押されてハッチへ落ちる。耳を抑えて上を向いた時、范無咎は笑みを浮かべてこっちを覗き込んでいた。