死に囚われた人【第五人格】 (ページ32)

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続きページ32

結果は最悪だ。
ダウンしたナワーブくんを放置したハンターは次の標的をノートンくんに移し、ノートンくんもチェイスで時間は稼いだもののダウン。ハンターはナワーブくんを暗号機の近くに放置したらしく、ノートンくんを吊ったあと瞬間移動しイソップくんに一撃。いつの間にか棺桶の位置を把握していたハンターはナワーブくんを棺桶の近くに吊った後またダウンを取った。そして吊る。ハンターは中距離キャンプでナワーブくんを確実に飛ばし、4割救助されたノートンくんをまた吊った。
フクロウは使い切ってしまった。
この状況でできることは？必死に考えてみても何も分からない。ただ、逃げて、逃げて、逃げて、それだけ？

「落ち着いてください、イライさん。貴方がパニックになってちゃあ元も子も無いでしょう。」

「嗚呼、そうだね。…僕がハンターを引きつける。その間にイソップくんは救助してきてくれ。」

「わかりました。行きましょう、早くしないと間に合わなくなる。」

そうやって、イソップくんも考えてくれたのに。
僕は全部無駄にしてしまった。
今残っているのは僕一人。僕も負傷状態で、ハッチはまだ見つけていない。
負けは確定。そもそもハッチを見つけたところで僕には脱出する権利なんてないのだ。
ハンターの赤い光に照らされる。そうだ、そのまま、一思いにやってくれ。

「…逃げないの？」

「ええ、逃げる権利もありませんから。どうか、一思いに吊ってください」

「は？」

ハンターはイラついたような声を上げた。どうしてだ、四吊りできると言うのに。

「そんなのアンタのエゴでしょ。そんなのに私を付き合わせないでよ。…聞いてんの？」

全てに無反応でいると彼女に顔を掴まれて、強制的に目を合わせられる。きっと彼女に僕の目は見えていないけど。
でも、それで気づいたことがある。
彼女が右目に包帯を巻いているという事と、あと、彼女の指の関節に何も無いこと。
ぽっかり穴が空いているように、そこだけ空白なのだ。あるとしたら緩く繋ぎ合わせている赤い糸だけで、まるで上だけ浮いているよう。でも動きは普通のそれなのだ。
そして、とても小さい事。泣き虫や信徒よりかは大きいが大差はないように見える。

「そもそも逃げる権利なんてないと思ったワケは？」

「…まともに救助も出来なかった。貴方が初心者だからと油断していた。連携も取れなかった。全て僕のせいなんです。」

沈黙。

そして彼女は口を開く。