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「…誰も起きてないじゃん」
未だ荘園のベッドには慣れなくて早く起きてしまった。最初はあんなに爆睡してたのに…。いそいそ食堂に降りてきたら誰もいなかったです。草。
どうやら朝昼晩の食事は荘園が用意してくれるらしい。朝起きたらキッチンにあるよって言ってた。いやぁお手軽でいいね!
ギィィ、と軋む扉を開けると、そこには大きな鍋とバケットがたくさん用意されていた。ああ、ジャムやバターもあるんだね。
先に食べちゃお。食べるタイミングに関しては何も言われてないし。約束も特にしてない。
鍋の蓋を開けるとコンソメのいい匂い。野菜が超入ってるコンソメスープだ。美味しそう。適当な器に盛り付けて立ったまま食べる。うまい。
そんなによそってなかったから10分かからず食べ終わった。暇じゃん…。
─
sidechange…Eli
ふと目が覚めた時、相棒がそばにいなかった。
必ずそばに居るわけでも無いが、この時間は彼女はまだ寝ているはずなのだ。
軽く着替えてから食堂へ向かった。
食堂の扉の前にまで来たはいいが、数分ここにいるままだ。
理由は簡単、扉の向こうから歌声が聞こえてくるから。歌っているところに来られたら相手も気まずいだろう?
どこの国の言葉だろうか。声は紛れもない女性で、僕の国の言葉と違うことはわかる。
数分立ち止まっていると唐突に歌声が止んで、
「君、アイツのところの子じゃないの?」
あ、この声。彼女だ。
数日前にやってきた小さな少女。彼女が喋った後、相棒の甘えた鳴き声が聞こえたからきっとそこにいるんだろう。
「…ドア?出たいの?」
…ん?
不味い不味い不味い!今彼女がドアを開けてしまったら、盗み聞きしていた事がバレて、
ガチャ。
遅かった。
ドアを開けた彼女は呆然としている。そりゃそうだ、ドアを開けたらさっきまで話してたヤツがいるんだ、驚くに決まってる。
「この子、アンタのとこの子でしょ」
「あ、あぁ、」
「用はそれだけ?じゃあね」
そういって彼女は自室の方へ行ってしまった。
これってもしかして。
(嫌われてる…?)
何故だか知らないが、彼女に嫌われているのは少し悲しい気がした。
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紅茶 - はじめまして!この作品めちゃくちゃ好きです…!!更新大変だとは思いますが頑張ってください!! (2020年5月30日 22時) (レス) id: 9ce8ebd643 (このIDを非表示/違反報告)
ヒッサーメ・ビンジョルノ(プロフ) - 結城@ハスター教信者さん» 優しい人…!!!ありがとうございます…!!! (2020年2月25日 0時) (レス) id: 3046be83b8 (このIDを非表示/違反報告)
結城@ハスター教信者(プロフ) - 番外編反映してないです。 (2020年2月24日 21時) (レス) id: f70674c364 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヒッサーメ・ビンジョルノ x他1人 | 作成日時:2020年1月4日 0時