【WT】ゾンビになるまでに、尾も白いことやり尽くす (ページ9)

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なすすべも無くやられる程、俺は弱くないんだ。

「ふー……オラァッ！」
「？！」

背中を流れる冷や汗には見て見ぬふりをして、空っぽになったカゴを勢いよく後ろに投げる。
俺を監視していた金髪の男もまさか反撃を食らうとは思っていなかったようで、心底驚いた様子の黄色い瞳と目が合う。
その時、彼の首元で揺れるチャームが目に付いた。
先が黄色に染まっているそれは、俺と全く同じ形の白尻尾のチャームだった。
黄色で思い浮かぶのは桐谷だったが、彼はそもそも金髪ではない。それに何よりこんな危険な場所に来るはずがない。
あのチャームも普通に売っている物だし、人違いの可能性もある。

「……っ、！」
「ちょ、ちょっと待って！貴方は……ぅわっ？！」

そんな思考に耽っているうちに、金髪の男は俺の横をすり抜けて外に出て行った。慌ててその後を追いかけようとするが、自分が投げたカゴに足を取られてしまい、盛大に転んでしまった。
男は一瞬だけ心配そうにこちらを振り返ろうとしたが、俺が転んだのを隙だと判断したのだろう。店先に停めてあった自転車に跨り、一目散に走り去ってしまった。

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