【WT】ゾンビになるまでに、尾も白いことやり尽くす (ページ8)

今日:2 hit、昨日:18 hit、合計:529 hit

コンビニでの出会いページ8

中村(Nakamu) side

「ふぅ……着いた……！」

しばらく自転車を漕ぎ続け、ようやく目的の場所に着くことが出来た。外のガラスには真っ赤な液体が飛び散っているものの、店内は意外にも綺麗で、漁された形跡も殆どない。駐車場に1台の自転車が停まっている事だけが気掛かりだが、そんな事を気にする余裕は生憎持ち合わせていなかった。

「おじゃましまーす……」

そろそろと中に入り、食料と水、そして頼まれた懐中電灯とラジオを探す。
食料は缶詰やインスタント麺が棚に並び、水とジュースもそれなりに揃っている。懐中電灯も様々な種類が置いてあり、ラジオだってある。
お金を払う必要性が無いことは分かっているが、リュックにそのまま商品を詰め込むのは俺の心が許さなかった。監視カメラのせいか知らないけれど、なんだか誰かに見られているような感覚を覚えたから。

「これだけあれば暫くは大丈夫でしょ！」

カゴにポイポイと商品を入れていく。棚を一通り漁り終えると、それなりの量の食料と水を入れたことも相まって、カゴはずっしりとした重さを主張してくる。

「え、重っ……」

思わずそう呟いてしまったが、この程度で根を上げる訳にもいかない。俺は気合いを入れ直し、レジカウンターにカゴをどさりと置いた。申し訳程度に1万円札をレジに置いて、リュックに商品を詰め込む。
その最中、やはり誰かの視線を感じる。ゾンビなのか人間なのか、はたまた別の何かなのかは分からないが、何者かに監視されているのは確実だろう。
なすすべも無くやられる程、俺は弱くないんだ。