【WT】ゾンビになるまでに、尾も白いことやり尽くす (ページ7)

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口をついて出たのは心配の言葉だった。自分でも驚いたが、放っておく気も起きなくて。この夫婦から見れば、俺はかなり異質な存在なのだろう。そりゃ、配水管を伝っている奴なんて普通はいないし。言葉を失っている夫婦に、俺は矢継ぎ早に話しかける。

「今からコンビニに行くつもりなんですけど、何か必要なものってありますか？助けになれたらな、と思って！」
「あ、あの……ありがとうございます……。食料と、あと懐中電灯とラジオが必要です……」

おずおずと、女性の方が俺の質問に答えてくれた。懐中電灯とラジオか。懐中電灯はともかく、ラジオはコンビニにあるのだろうか。まあ、ゾンビパンデミックが起こって初めての人助けなのだ、気を引き締めないと！

「分かりました！懐中電灯とラジオですね？じゃあ、俺はこれで！」
「本当にありがとう……！」
「あ、えぇと……き、気をつけて…！」

2人に見送られながら、俺はパイプから地面へと足をつけた。予想通り、この周辺にはゾンビが居ない。
流石に徒歩でゾンビだらけの街を歩くのは危険だと判断し、自分の自転車に跨る。

「…っし、行こう！」

ペダルを漕ぎ始めれば、もうこっちのもんだ。俺は颯爽と自転車を走らせる。
徒歩とは比べ物にならないスピード感に、俺はワクワクが止まらなかった。一心不乱に俺を追いかけるゾンビ達を悠々と引き離し、コンビニへと全速力で向かった。