日常、崩壊 ページ2
中村(Nakamu) side
いつも通り、スマホのアラームで目を覚ました。まだ寝ていたいけれど、そんな駄々をこねている暇はない。さっさと支度をして会社に行かなければ。
洗面所で顔を洗い、歯を磨いてから朝ごはんを準備する。トーストを焼いていると、玄関の郵便受けに入った一枚の紙に気がついた。心当たりが無いまま、紙面を読んでいく。
「……げっ？！忘れてた！！」
そこに書かれていたのは、駐輪場の料金督促。いつか払おうと後回しにし過ぎた結果、いつの間にか期間を過ぎてしまっていたようだ。
慌てて現金入りの封筒を引っ掴み、全力疾走で大家さんの部屋へと向かう。途中でどこか俯いた表情で歩くヒトとぶつかってしまったが、謝りながら走り去る。
「はぁ……はぁ……す、すみませーん！」
少し息を切らしながらも大家さんの部屋に辿り着いた俺は、チャイムを鳴らして大家さんが出てくるのを待つ。
30秒、1分……2分……いつまで経っても、扉は開く気配を見せない。
「あれ……？おっかしいなぁ」
時間を間違えたのだろうか。いやしかし、いつもなら起きている時間のはず。少し不審に思った俺は、ノックしてからドアノブを回す。扉は意外にも抵抗なく開き、部屋の中が見えた。その瞬間、とんでもない異臭が鼻腔を突く。それに、何かを食い漁っているかのような音も聞こえる。
「な、なに……これ……」
恐る恐る部屋の中を覗くと、そこには身体が腐り切ったヒトらしきものと、ソレに馬乗りにされてもう既に事切れている人が居た。俺の記憶が正しければ、ヒトらしきものの姿は大家さんに似ている様な気がする。しかし、脳はソイツをヒトだと認識する事を拒んでいた。
例えるならばそれは、アニメや漫画でよく見るような……
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作者名：あんこ | 作成日時：2023年12月28日 21時
