検索窓
今日:62 hit、昨日:85 hit、合計:453,512 hit

27 ページ30

スーーッ



「……んぁ?」



何かの音で目を開けたのは、周り暗闇に包まれ、月だけが爛々と輝いている頃。


この時間に帰ってくるのは……もしかして。



「……甚爾くん」



「わり、起こしたか」



聞き覚えのあるテノールの声。血の匂いプンプンするんだけど。



「寝てろよ」



また襖の開閉音がしたと思うと、また静寂が部屋を制す。
まだ開ききっていない目でガラケーと睨めっこをしていると、何となく時間は分かった。


午前2時。俗に言う丑三つ時だ。しばらく立った今でも鉄の残り香が鼻をつく。きっと彼は血だらけなんだ。



多分全部返り血でしょうけどもね。ほおって置けないでしょ。眠気がさめた私はのそりと起き上がり、台所へ向かった。


ヤカンに水を入れ、コンロの上に置きカチカチとスイッチを回す。
できるだけ静かに洗面所へ向かい、タオルを1枚取るとヤカンの前でソワソワしている私。


暇になり、大きな影が見える手すりがついた窓に向かおうとすると、ピーーーッ!!!!と耳障りな音が聞こえる。


「わ!」


やべ、鳴っちゃった。いや、実を言うと私めちゃくちゃ不器用なので、やり方わかんないです。

なのでタオルを箸で掴んで、お湯を掛けました。

いやだって他のやり方思いつかなかったんだもの。みつお。それよか甚爾くん!



「あっち、あっつぅ!!」



私のバカァ!!!なんで沸騰させたんだ!!

雷の呼○の壱ノ型 使いながら窓ところに行くと、熱湯ぶっかけタオルを甚爾くんのほっぺたに被せた。


ジュッって言ってたのはきっと幻聴。



「お前、寝ろって言っといただろうが!」


「嫌だね、寝ないよ私!」



あんな寂しそうな背中見せられて「ほっとけ」って言われて「うん」とは言えないでしょうが!(言ってない)



「ほら甚爾くん、血ぃついたところ見せて」



ぐっ……と渋っていたのもつかの間、大人しく目をつぶった甚爾くん。



「おつかれ甚爾くん。おかえりなさい」



「……ただいま」



顔を拭きながら頭をなでなでしてあげると、甚爾くんは大人しく私に撫でられている。かわいい。

28→←26



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (512 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1319人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

栗まんじゅう愛してる(プロフ) - お松さん» 見つけてくださってありがとうございます🥹🥹頑張ります🔥💪🏻 (11月25日 18時) (レス) id: ceba318f19 (このIDを非表示/違反報告)
お松 - 初めてこれ読むけど、すごい面白いです!更新頑張ってください!!😘 (11月25日 16時) (レス) @page26 id: f0ee455632 (このIDを非表示/違反報告)
栗まんじゅう愛してる(プロフ) - すんさん» 規模デカすぎて笑います…🤣更新頑張りますね!! (11月13日 19時) (レス) @page50 id: ceba318f19 (このIDを非表示/違反報告)
すん - 終始穏やかじゃなかったです心中。常に叫んでました。神作品をありがとうございます更新頑張ってください…!!数億年なら待てます (11月13日 18時) (レス) @page50 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
栗まんじゅう愛してる(プロフ) - Yunaさん» ありがとうございます!やったー!更新頑張ります!! (9月21日 15時) (レス) id: 184391ef54 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:栗まんじゅう愛してる | 作成日時:2021年3月9日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。