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スーーッ
「……んぁ?」
何かの音で目を開けたのは、周り暗闇に包まれ、月だけが爛々と輝いている頃。
この時間に帰ってくるのは……もしかして。
「……甚爾くん」
「わり、起こしたか」
聞き覚えのあるテノールの声。血の匂いプンプンするんだけど。
「寝てろよ」
また襖の開閉音がしたと思うと、また静寂が部屋を制す。
まだ開ききっていない目でガラケーと睨めっこをしていると、何となく時間は分かった。
午前2時。俗に言う丑三つ時だ。しばらく立った今でも鉄の残り香が鼻をつく。きっと彼は血だらけなんだ。
多分全部返り血でしょうけどもね。ほおって置けないでしょ。眠気がさめた私はのそりと起き上がり、台所へ向かった。
ヤカンに水を入れ、コンロの上に置きカチカチとスイッチを回す。
できるだけ静かに洗面所へ向かい、タオルを1枚取るとヤカンの前でソワソワしている私。
暇になり、大きな影が見える手すりがついた窓に向かおうとすると、ピーーーッ!!!!と耳障りな音が聞こえる。
「わ!」
やべ、鳴っちゃった。いや、実を言うと私めちゃくちゃ不器用なので、やり方わかんないです。
なのでタオルを箸で掴んで、お湯を掛けました。
いやだって他のやり方思いつかなかったんだもの。みつお。それよか甚爾くん!
「あっち、あっつぅ!!」
私のバカァ!!!なんで沸騰させたんだ!!
雷の呼○の壱ノ型 使いながら窓ところに行くと、熱湯ぶっかけタオルを甚爾くんのほっぺたに被せた。
ジュッって言ってたのはきっと幻聴。
「お前、寝ろって言っといただろうが!」
「嫌だね、寝ないよ私!」
あんな寂しそうな背中見せられて「ほっとけ」って言われて「うん」とは言えないでしょうが!(言ってない)
「ほら甚爾くん、血ぃついたところ見せて」
ぐっ……と渋っていたのもつかの間、大人しく目をつぶった甚爾くん。
「おつかれ甚爾くん。おかえりなさい」
「……ただいま」
顔を拭きながら頭をなでなでしてあげると、甚爾くんは大人しく私に撫でられている。かわいい。
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栗まんじゅう愛してる(プロフ) - お松さん» 見つけてくださってありがとうございます🥹🥹頑張ります🔥💪🏻 (11月25日 18時) (レス) id: ceba318f19 (このIDを非表示/違反報告)
お松 - 初めてこれ読むけど、すごい面白いです!更新頑張ってください!!😘 (11月25日 16時) (レス) @page26 id: f0ee455632 (このIDを非表示/違反報告)
栗まんじゅう愛してる(プロフ) - すんさん» 規模デカすぎて笑います…🤣更新頑張りますね!! (11月13日 19時) (レス) @page50 id: ceba318f19 (このIDを非表示/違反報告)
すん - 終始穏やかじゃなかったです心中。常に叫んでました。神作品をありがとうございます更新頑張ってください…!!数億年なら待てます (11月13日 18時) (レス) @page50 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
栗まんじゅう愛してる(プロフ) - Yunaさん» ありがとうございます!やったー!更新頑張ります!! (9月21日 15時) (レス) id: 184391ef54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:栗まんじゅう愛してる | 作成日時:2021年3月9日 21時