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虚「、、、起きませんね」
あの後すぐAは気を失った。
陽愛のことを思い出し余程ショックだったのでしょう。
それに陽愛の時と比べてつわりが酷い。
寝てるのにも限らず嗚咽を繰り返す。
まあ吐くものなんて胃に残らないので
出るのはやらしい唾液だけなのですが。
A「ひゅ、ーっ、、、ぅ、」
それにしても苦しそう。
喉がかわいてひゅうひゅうとなっているのに
つわりのせいで水を飲むことを嫌がる。
虚「、、、ところで貴方はいつ帰るつもりでしょう」
晋「、、、さァな」
ただ壁にもたれかかってAを見つめる松陽の弟子。
私のことは松陽ではないとわかっているみたいで
手間が省ける。
しかし気に入らない。
あれだけAを怒らせたのです。
相当なにか癇に障ることをしたのでしょう。
虚「君、早く帰った方が身のためですよ
私は優しくない
いつでも君を八つ裂きに出来ますよ」
晋「、、、すぐに帰らァ
、、、ひとつ忠告させて貰うが
言葉通り俺はあんたの事を信用してねェ
Aがなんと言おうと、な」
彼の言葉に私は何も言い返せなかった。
ーーー
夢を見る。
手に沈んでい体の重み、
冷たくなっていく娘の体温。
何度も何度も繰り返されて
何度も何度も胸を打ちひしがれる。
人の形をしていたそれが
どろどろと黒く滲み塵になって風に飛ばされて行く。
私は
ただそれを見てる。
陽愛を殺したのは
陽愛を苦しめたのは
母親の私だった。
A「はっ、はぁっ、、」
泥水に沈むかのような感覚に目が覚めた。
そこには誰もおらず隣の部屋から声が聞こえた。
重ったるい体を起こし
そっと襖を引いた。
ーーー
虚「A、うなされてましたよ」
疲れ果てた瞳。
何かを諦めているかのような表情に
どことなく不安を覚えた。
A「そうか、、、すまない、事をした」
虚「あなたは悪くないですよ」
そう言って座るように促す。
Aはぎこちなく腰を下ろし
少しいにくそうに口を開いた。
A「、、、、、、、
、、、、、、
、、、、、、堕ろしたい」
確かに言った。
堕ろしたい、と。
虚「、、、なぜです?」
A「私には、もう何も背負える気がしない
なにも、、、守れない
なにも、、、」
不安そうな彼女の手を取る。
小さく震えていて、それが寒いとかそんな理由ではないことくらい分かっている。
ただ彼女の怯える顔を見つめていた。
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作者名:ありやけさん | 作成日時:2021年1月20日 23時