らくだい魔女と両思いのち片思い〜ライラックの花言葉を君に捧ぐ〜

今は ページ14

カイトside



ゆっくりと、顔を上げる。アダムは魔法が直撃していないから、気絶した程度で済んでいるみたいだ。



パラパラと小さなコンクリートの破片が落ちてきて、上を見上げた。



頑丈に造られていた天井はひびが入り、壁には抉れた後がある。鉄格子はおかしな方向にひしゃげていた。



カイト「フウカ……」



鉄格子の奥に、荒く息をしているフウカがいた。その隣にはチトセとカリン。所々怪我をしているけど、みんな無事だ……。



フウカ「カイト！」



三人が、鉄格子を潜って駆け寄ってくる。僕は思わず、はぁぁ……と息を吐き出した。



カイト「良かった……みんな無事だったんだね」



チトセ「ああ。お前は、……っ！その腕……？！」



カイト「ん？あ、コレか。気にしなくて良いよ」



チトセが驚いたように右腕を見つめてくる。フウカとカリンに見つかる前に、サッと背中に隠した。



カリン「私たちは軽い怪我だけで済んだわ！フウカちゃんは魔力切れでちょっとフラフラしてるけどぉ……」



フウカ「アッハハ〜なんのことかな？？」



明後日の方向を見つめて誤魔化すフウカに、つい苦笑する。



いつもだったら小言の一つくらい言ってるかもしれないけど、今は──



少しだけ、笑っただけだった。



・

"家族"か"敵"か→←声の限り

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す