らくだい魔女と両思いのち片思い〜ライラックの花言葉を君に捧ぐ〜

声の限り ページ13

フウカside



最後の１段をおりる瞬間、あたしはハッと息を飲んだ。



だって……だって……。



カイトが、魔法を発動する直前だったから。



フウカ「ダメっ……」



慌てて手を伸ばしても届かない……っ！まだ、遠すぎる！！



カイト『風よ──』



一陣の風が吹いた。銀色を帯びた……銀の城の、風の魔法。



あれ、あたしの魔法だ！



──昔、カイトに魔法を見せたことがあった。少しの風を吹かせてみせただけだけど



確かに、あの時あたしはカイトに"見せて"しまったんだ──



カイト『吹き荒れろ、荒れ狂え』



ゴォオッと突然強く、風が吹く。カイトを中心に渦巻いていた風たちが一斉にベネスに向かっていった。



チトセ「あんなのまともに喰らったら、重傷なんかじゃ済まないぞ……！」



カリン「死んじゃうわよぉ……っ！」



ダメっ！！カイトにお義父さんを殺させちゃダメだ！！



絶対止めないと。あの魔法を……！



フウカ「止まって……お願い！」



風に向かって腕をつき出す。けど、魔法を出したのがあたしじゃないから、うまくコントロールできない！！



でも、元々はあれはあたしが見せた魔法なんだっ！絶対、止められる！！



フウカ『やめてっお願い、静まって！！！』



あたしは力の限り全力で叫んだ。魔法が止まるように。



カイトに、届くように。



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