とある国の王様が ページ2
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カツ…コツ…カツ……
薄暗い城内の地下を静かに歩く。ぐねぐねと曲がった道は少し進めばすぐにいくつもの分岐点にたどり着き、正しい道順で進まなければ恐ろしい罠がひそんでいる。
そんな中を、確かな足取りで真っ直ぐと。手に持つランプの淡い光だけを頼りに進み続ける。
そのまま何十もの分岐点を正確に辿り、ある1つの巨大な部屋に到着した。
部屋の扉に向かって手をかざす。ランプとは違う、明るい光の粒子がキラキラと輝いた。
ギッィィイ……と重たい音をたてながら、この国の"国庫"の扉が開く。
私は手にしていたランプの光を強くし、広い部屋をぐるりと見渡した。
古く、触れたら崩れてしまいそうな黄ばんだ書物の収められた棚。
王家や国と深い関わりを持つ魔石や道具の数々と、世に出回っていては危ない危険な物たち。
そして、その中で一際異彩を放ち、鈍く輝いている、紅い石。
この国が最も守らなくてはならない大事な石であり……
絶対に触れてはならない、"呪われた石"。
私はそれに近づかぬよう心がけながら、そっと奥の書棚に回り込む。
ランプの先にあるのは、この国の先祖たちが遺した記録。
そのうちの数冊を手に取ると、ホッと息を吐いた。
これで、"あの子"の能力のことについて、少しは分かるかもしれない。
書物を片手に、安堵とともに部屋を出ようとしたその時。
グラリ、と。
一瞬地面が揺れた。ランプの明かりが突然消え、真の闇が辺りをおおう。
背後から、酷く冷たい冷気が私の体を包むように立ち上った。
『あぁ……王族だ。にっくきミサトの一族の王……。コイツなら、我の積年の恨みを晴らす"依代"に十分だろう』
くっくと愉快そうな不穏な笑いが辺りに響く。抵抗するため、呪文を唱えようと口を開くと……。
自分を取り巻いていた冷気が、一息に飛び込んできた。
「ぐ……あ、あぁ……!」
意識が、遠退く。耳鳴りが酷い……。頭が軋むように痛みを訴え、どうしようもない眠気に襲われた。
ああ……ダメだ……今ここで意識を失えば、戻れない……。
自分の危機察知能力の全てが警鐘を鳴らしている。
しかし……私は、
意識を手放してしまった。
〜〜〜〜〜〜〜
『ふむ……何百年ぶりの人の体だ。悪くないな』
『そして……成る程』
『先祖返りの王子、か。……くくっ、面白い』
『例え何百年経とうとも、決して覚めない怒りを思い知るがいい』
『ミサト一族……!』
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あんなつ♪(プロフ) - 爽さん» 戻るように頑張るぅうううっ!!!てかフウカたち三人組に頑張ってもらうぅううう!!! (2020年12月19日 21時) (レス) id: 2efed111d7 (このIDを非表示/違反報告)
爽(プロフ) - あんなつ♪さん» かっ…カイト君っ!!あの眩しい笑顔は何処へ!?ダメだぁ元に戻りなさぁあああああいいいいいいいいいいい((人様にどーゆー目線で言ってんだ (2020年12月12日 8時) (レス) id: 82f3ba1a1a (このIDを非表示/違反報告)
あんなつ♪(プロフ) - 爽さん» そうそう、みんな居るもんね!アリスちゃんとユウくんとアサヒくんもいるぞぉおお!! (2020年11月7日 16時) (レス) id: 2efed111d7 (このIDを非表示/違反報告)
爽(プロフ) - あんなつ♪さん» 私もフーカの陰にいるからねぇ泣頑張って〜〜っ泣泣 (2020年11月7日 15時) (レス) id: 82f3ba1a1a (このIDを非表示/違反報告)
爽(プロフ) - あんなつ♪さん» そうだよあんなつの方がママだかんねw泣くよ君の語彙力に拍手喝采っ!← (2020年9月12日 20時) (レス) id: b0b3a08d76 (このIDを非表示/違反報告)
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