優しさ ページ5
フウカside
フウカ「え、何のために…。」
ガート「…貴女を我々から守るためでしょう。」
フウカ「守る、てことは、カイトは…。」
はっはっと呼吸が浅くなって、心臓がギュゥゥと痛くなった。
ガート「もちろん、知っていらっしゃいますよ。我々が貴女を捕らえようとしていることも、貴女をどうしようとしていることも。なにせ、そのために幾度も貴女のもとに送り込んだのですから。」
フウカ「幾度もって…じゃあ、カイトは、ちっちゃい頃から、」
ガート「ええ、何せ我々が彼に『銀の姫君をこの国に連れてこい』と、命じていたわけですから。王子が6つの頃から。」
心臓が、痛い。ドッドッとすごい速さで動いて、手にじっとりと嫌な汗が滲む。
何度も唾を飲み込んで、その度にカイトの色んな顔を思い出した。
怒ってる時の顔とか、仕方ないって苦笑いするときの顔とか、優しい笑顔とか。
っ、あたしが見てない所で一人で泣いてる顔とか、苦しんでる時の瞳とか、あたし以外に見せる、無表情とか…!
無表情の中にある、悲しみと憂いと、苦しさ、とか!!
あたしはっ…全部、知ってたっ。知ってて、でも、何もできなかった…!
『義父、さん…っ…!』
あの時、決めたはずだった。友達が苦しんでるとき、悲しんでるとき、絶対一緒にいてあげようって。
でも、
結局、
カイトをずっと独りにしてたんだ。
その事が、あたしが拐われたとか、これからどうなるんだろうとか、そんなことよりずっと辛くて、悲しかった。
カイトは、優しい。優しくて、自分に無関心すぎる。
そんなカイトは、苦しみとか悲しみとか、人一倍感じやすくて、人一倍、繕いやすいんだ。
わかってた、分かってた分かってた分かってた!!!
知ってたんだよ………。
フウカ「あんたはっ、あたしとカイトが仲良いって、知っててそれを命令してたの…、?」
ガート「……はい。仲が宜しいからカイト様を"使って“いたのですからね。」
フウカ「っ!………サイテーね。」
ポツンと一言返して、ギュッと抱き締めるように腕を掴んで、その場に座り込んだ。
ガチャッと重たい金属音がして、バタンと扉が閉まる音が聞こえた。
あたしは、一人、薄暗い部屋の中で膝を抱えて、息を押し殺して泣いた。
フウカ「……優しすぎるんだって…フツー、そんなこと命令されて、笑顔なんて浮かべらんないでしょ…。」
ゴメンね、カイト。こんなダメダメな幼馴染みで、ゴメン…。
6人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんなつ♪(プロフ) - ♪稀小椎♪(mej)さん» うす!ありがとね!! (2020年8月16日 15時) (レス) id: 2efed111d7 (このIDを非表示/違反報告)
♪稀小椎♪(mej)(プロフ) - 脱字した…、今更言うけど、続編おめ! (2020年8月15日 20時) (レス) id: 4cf15cbb89 (このIDを非表示/違反報告)
♪稀小椎♪(mej)(プロフ) - 今更、続編おめ!! (2020年8月15日 18時) (レス) id: 4cf15cbb89 (このIDを非表示/違反報告)
あんなつ♪(プロフ) - ケイさん» 私もそう思う!!!父親○したヤツなんて○しちゃえ!!! (2020年7月7日 19時) (レス) id: 2efed111d7 (このIDを非表示/違反報告)
ケイ(プロフ) - あんなつ♪さん» ちょっと待ってベネス腹立つわぁああ怒カイトくん一気にやっちゃって!!本当もう、原型とどめなくていいと思う! (2020年7月7日 5時) (レス) id: b0b3a08d76 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ