操り人形 ページ36
フウカside
あたしの体は、操られたまま持っていた剣を振り上げてチトセに向かって駆け出す。
あたしはなんとか抵抗しようとするけど、全然止まらない。
サーッと顔から血の気が抜けて、必死にチトセに向かって叫んだ。
フウカ「チトセッ!これ、どうなってるの!?っていうか逃げて!!」
チトセ「くそ……っ!」
チトセがぐんっと身を低くしてあたしの剣をかわす。
あたしは力の限り抵抗して、ガートを睨み付けた。
フウカ「ガート……っ!あんた、何をしてるか分かってんの!?」
ガート「もちろん分かっておりますよ姫君?貴女がどうやって戻ってきたかは知りませんが、貴殿方が正気で殺し合うのを見るのも見物ですね……。」
くくっと笑って、ガートの声とガートの口調で話すあいつは、絶対にガートじゃないっ……!
ギラギラとガートを睨み付けて、また勝手に体が動き出した。
チトセの顔のすぐ前に切っ先を突きつける。チトセは苦い顔をして、ジリッと後ずさった。
その後ろは、壁っ……!チトセの逃げ場が……ないっ!
フウカ「そんなっ……!」
チトセ、お願いっ、逃げて……!
泣きそうになって、ぷるぷると唇が震える。それでもあたしの体はどんどんチトセに近づいていった。
剣を高々と振り上げる。その瞬間、カルガバールに操られた時のことを思い出した。
あの時も……こんな風に、チトセを殺そうとした。
ヒュッと、剣が空気を切る音。ぽろぽろと頬に涙が伝った。
フウカ「ダメーーーー!!!」
必死にそう叫んでギュッと瞼を閉じた、その時。
震える大きな声が、その場に響いた。
「アイビークル、ネッタグルード……!!」
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