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変わらないこと ページ4

変わったことがいくつかあったけど、変わらないこともいくつかある



2人で外を歩いてるとき未だに緊張して身体がピリピリとする



花火大会の日に一度だけ繋いだ手は、付き合ってから一度も繋いでいない



今日だって銀さんと並んで歩いているのにその距離は付き合う前と変わらない、手を伸ばせば届く距離



家の中にいる時はゼロ距離なのに、一度外に出ると私が作っているのか銀さんが作っているのか分からない微妙な距離が生まれる



別にどこでもイチャイチャしたい訳じゃなくて単に疑問に思ってるだけ



もしかしたら…なんて不要な心配も雲の様にモクモクと立ち込めるから質が悪い





「手、繋ぎたいです」なんて自分から言うのは変な意地があって言えたもんじゃない



悶々としつつ歩いていると、すぐ隣を歩いていた銀さんが少し離れていた



その距離がいつもより遠く感じて柄にもなくシュンと落ち込んでしまうのも、銀さんをしっかり好きだという裏付け









銀「また迷子になるつもりか?」









そんなモヤモヤを吹き飛ばすのはいつだってこの銀色



私がこんなしょうもない事で落ち込んでいるのを察したのかどうかは知らないけど、タイミング良く銀さんが私の手を取ってくれた



手を取れば距離も縮まり、歩幅を合わせてゆったりと歩き始める



あくまで迷子防止というつもりらしいけど、手を取った銀さんの手はあの時みたいにしっとりと湿っぽくて熱い



銀さんの表情を盗み見ると、耳を赤くさせ気まずそうに目線はどこかへ向けている




緊張してるのは私だけじゃないと分かると安堵と共に銀さんへの好きが増して溢れそうだ








「銀さん」



銀「なんだ」



「好きです」



銀「うるせぇよ」









塞き止められなかった想いを銀さんにぶつけると、言葉とは裏腹に私に呼応するように手を握る力はぐっと込められた





この日から手を繋ぐときは、「迷子にならないように」という魔法の言葉を唱えてからになったのは言うまでもない






今日は変わらなかったことが変わったことに追加された特別な日

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作者名:るう | 作成日時:2022年9月3日 22時

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