09_赤と白 ページ9
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眩い光と不思議な感覚に身を包まれた瞬間、目の前にはメルヘンチックな世界が広がっていた。
『わあ…可愛い…!』
「めっちゃ豪華だ!オレ様たちの寮と全然違うんだゾ!」
「うちはまだ発展途上だから!」
絵本の中に入ったみたいで少し浮ついてしまったけど目的を忘れてはいけない。寮長さんの居場所がわかる人はいるだろうか。
「やばいやばい。急いで薔薇を赤く塗らないと」
「おっ。誰かいるんだゾ」
辺りを見渡すと生垣のそばに制服姿の男の子が見えた。近くに寄ってみると「首が飛ぶ」とか物騒な言葉が聞こえてきたような…?
「…ん?君たちなにか用?」
「それ、なにしてんの?」
「これ?見ての通り薔薇を赤く塗ってるだけだけど」
「えぇっ!?なんでそんなことを?」
「ん〜、反応がフレッシュでカワイーね!って、よく見たら君たち昨日10億マドルのシャンデリア壊して退学騒ぎ起こした新入生じゃん!」
口ぶりからするとこの男の子は上級生なのだろう。エースくん達の存在は入学早々トラブルを起こした問題児として学園中に広まっているらしい。
話の流れで自撮りやらSNS投稿やらをするところを見ると、どこの世界でもこの年頃の子は変わらないんだなあ。
「ほい、アップ完了っと!あ、オレはデュースちゃんたちの先輩で3年のケイト・ダイヤモンドくんでーす。ケイトくんって呼んでね。けーくん♡でもいいよ」
「はじめまして、ユウです」
「あ、君、噂のオンボロ寮の監督生になったコだよね。よくあんなとこ住めるね〜!…ん?女の子?」
ユウくんの陰になっていた私に気付いたケイトくんが覗き込んできた。
『ユウの姉のAです。雑用係なんだ〜。よろしくね、ケイトくん!』
「ユウちゃんのオネーサンなんだ!可愛いしバズりそ〜!よろよろ〜!」
記念に写メ撮ろーよ!と距離を詰められ、ケイトくんを真似てピースをしたところでシャッターを切られる。これもアップしていい?と聞かれたけど私はこの世界のSNSを知らないので、危なくないならいいよと答えておいた。
「…って、話し込んでる場合じゃないんだった!パーティーの開催は明日。君たち、薔薇を塗るの手伝ってくれない?」
私達の頭上には疑問符が浮かぶ。話を聞くと“なんでもない日”をお祝いするパーティーがこの寮の伝統だそうで、そのために白い薔薇を赤く塗る必要があるらしい。
私達5人は予想外のお手伝いをすることになった。
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麗(プロフ) - 続きを読める事を楽しみにしてます! (2021年1月6日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
安眠(プロフ) - 夜神(女です!)さん» ご丁寧にコメントしてくださってありがとうございます。大丈夫ですよ! (2020年11月3日 21時) (レス) id: fe927a247b (このIDを非表示/違反報告)
夜神(女です!)(プロフ) - 突然失礼します!ツイステの作品を描こうと思っているんですが安眠さんの「監督生のお姉さん」の設定を参考にさせていただいてもよろしいでしょうか!? (2020年11月3日 19時) (レス) id: 588c4c8811 (このIDを非表示/違反報告)
安眠(プロフ) - みいらさん» コメントありがとうございます。ご期待に添えるよう頑張ります! (2020年10月6日 22時) (レス) id: fe927a247b (このIDを非表示/違反報告)
安眠(プロフ) - 雪華さん» 私が知っているアニメということでしょうか…?!漫画はたまに読みますがアニメはあまり詳しくないです;すみません (2020年10月6日 22時) (レス) id: fe927a247b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:安眠 | 作成日時:2020年9月10日 1時