オンボロ寮のお姉さん【twst】

05_訪問者 ページ5

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　ドンドンと扉を叩く音で目を覚ます。外はまだ夜の帳に包まれているが、近くで眠っていたグリムも物音に起こされたようで重たい目を擦っていた。
見に行こうか、と僕が声を発するより先に──


「きゃあ！」

「おわぁ？！」


──姉さんの悲鳴が耳に入り、慌てて部屋を飛び出した。


『…エース？』

「あ…、ユウくん、大きい声出してごめんね」


　音の出所である玄関まで様子を見に行けば、そこに居たのは姉と、赤い顔で姉を見つめるエースだった。少し視線を下げると見覚えのある首輪がついている。

僕が扉を開けると思っていたエースは、予想外の女性の存在に面食らい、加えてその女性が油断しきった部屋着姿だったため更に平静さを失ったようだった。

姉は姉で、学園長が来たものだと勘違いして解錠したら見知らぬ男子生徒が居て吃驚したらしい。



　ひとまずエースを寮に入れて話を聞くと、“冷蔵庫に入っていたタルトを無断で食べていたら寮長に見つかり、ルール違反だと首輪をつけられた”とのこと。
「今日からここの寮生になる」と不貞腐れた様子だが…盗み食いは良くないと思う。


『明日、謝りに行こう。きっと許してくれるよ』

「はぁ…わかったよ。謝ればいいんでしょ。…ユウが提案したんだから一緒に来いよな」


　僕が「任せなさい」と返したことでこの話には区切りがついたようで、不機嫌だったエースが打って変わってニヤッと口角を上げ、内緒話をするように身を屈めた。


「つーかさぁ…さっきのお姉さん誰なの」

『…僕の姉さんだよ。理由は分からないけどこの世界に来ちゃったんだ』

「はぁ！？ユウの姉ちゃんなの！？」

「──うん？」


僕達に気を遣ってか他の部屋にいた姉さんがタイミングよく帰ってきて、「Aです、よろしくねエースくん」なんて呑気に挨拶をする。呆気に取られていたエースも自己紹介を始め、姉と友人は面識を持つこととなったのだ。



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