第50話 ページ3
彼がいなくなって、私は酷く落ち込んだ
自分はなぜ死なないのか、そんなことばかり考えていた
…話しを続けないと
「さらに半年たった頃、近藤さんと沖田さんが通り魔にやられて…死にました。」
雪が降りそうなくらい寒い日
突然ナイフを持った男がきて、私と近藤さんと沖田さんを襲った
近藤さんを庇おうと動いた私を近藤さんが庇って、その近藤さんを沖田さんが庇った
近藤さんと沖田さんが同時に倒れて、私は近くにあった石で犯人を殴ったのだ
誰も守れなかった
私は女だからと、守られてばかりだ
「私は1人になりました。この世界に来るまで。」
吉「この世界って…さっきから…」
吉の顔は暗い
というより、何かを責めているように見える
でも、おそらくだけど、吉は自分の顔色が暗くなった原因を私には言ってくれないんだろう
そんな気がする
「私はここの世界の住人ではないんです。」
ここまで言って話を切り、目的地だった茶屋の座敷へ
お茶を頼んで、届いてから話を再開した
「私は鏡伝いにこの世界へやってきました。」
吉「鏡?」
「信じて貰えないとは思うんですけど…私は前の世界で、この世界の土方十四郎と似たような役割をしてました。」
吉「真撰組の副局長みたいな?」
「はい、風紀委員会の副委員長です。」
吉は私の目を見る
目は口ほどに物を言うっていうけど…信じてくれるかな?
吉「いちおう、Aが住んでいた前の世界っていうのがあったとしよう。この世界に来たってどのへんだよ」
「真撰組屯所ですよ。もう少し詳しく言うと、共同洗面所の土方さんが向かっていた鏡から。」
吉「だから、そのまま真撰組に?」
「はい、やっぱり信じられませんよね。」
吉「信じられないって訳じゃないけど…頭がついてこない」
吉は困ったように顎を触った
…『吉』は顎を触ったとき
「私もそうでした。1つだけ、私は貴方を騙すなんてしません。」
吉は顎を触るのを止める
『吉』が顎を触るとき、嘘とか後ろめたいときにする
いや、まぁ、別人なんだから吉はそういう訳ではないんだろうけど
吉「わかった。」
「…よかった。」
安堵して大きく息を吐く
…本当によかった
吉「あのさ、実は俺、記憶喪失なんだ。1年前からの記憶がすっかりなくて」
吉はまた顎を触ってる
昔の癖か気になっちゃう
「なら、過去のことは聞きません。」
もう少し話そうとして、私の携帯電話が鳴った
4人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
光珂(プロフ) - お久しぶりです、誤字脱字のチェックに来ました! 第53話の下から5行目「降っている」→「振っている」だと思います。 (2015年8月2日 7時) (レス) id: 6a4b2687c1 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - 光珂さん» ありがとうございます。 (2015年5月31日 15時) (レス) id: b39489f403 (このIDを非表示/違反報告)
光珂(プロフ) - 桜餅さん» いえいえ、お気になさらず。 もちろんです、こちらこそよろしくお願い致します! (2015年5月31日 15時) (レス) id: 6a4b2687c1 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅(プロフ) - 光珂さん» ありがとうございます! ご報告するべきでしたね…すみません!これからもお世話になってよろしいですか? (2015年5月31日 15時) (レス) id: b39489f403 (このIDを非表示/違反報告)
光珂(プロフ) - お久しぶりです。続編おめでとうございます! (2015年5月31日 15時) (レス) id: 6a4b2687c1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ