鬼ん子ひと守り。【銀魂】

第６１話 ページ15

２人で暮らすようになってから数か月たち、季節も変わった
その間にこのあたりも物騒になり、最近では辻切りが横行していると近所では噂があるし、桂さんの周りでは一ツ橋公が主体となった討幕派が増えてきているらしい

桂一派では引き抜かれたことはないらしいけど、そのことについてよく話し合いをしていた
今夜もその話し合いの日
そんな物騒な夜に、吉は刀を忘れていた
少し怖いが届けに行こう…届けにいかなかったせいで吉に何かあったほうが怖い
自分と吉の刀を持ち家を出る
住宅ばかりだからかとても暗い、それでも月明りで見えないこともなかった


歩きだして、数分たったころ
路地裏から土を踏む音が聞こえた
私が音から遠ざかったと同時に目の前に光が横切る
よく見慣れていた、月明りに刀が反射したもの


？「ねぇ」


高い少年の声
路地裏から出てきた少年は少しやせ気味で身長に合わない刀を持っていた
頭を下げていて表情はよく見えない、それがよけい不気味さをだしていた
私は警戒しつつ刀は抜かない


「何か御用？今、届け物をしている途中だから無視してくれると嬉しいのだけれど」


少年がもう１度「ねぇ」と言う
まるで私の言葉など聞いていないようだ


？「あなたは僕のことを殺してくれる？」


少年はゆっくりと顔をあげた
その目はまるで、昔の私を見ているようで


「いいえ、殺さない」

？「そう、それなら。死んで」


少年が動くより先に刀を抜き、少年の刀をへし折った
そして少年の目線を合わせるようにしゃがんだ


「君、お腹すいてない？」


私はアジトに少年を連れていくことにした
正気のさたではないだろう
少年といえ、人殺しを助け、隣を許して話しているのだから

それでも、この少年には誰かに好意をよせてもらわなくては駄目だろう
本当に私のようになってしまう

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