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眉間に皺を寄せた剛典が戻ってきて、直己が声をかけるとその場にしゃがみ込んだ。
剛典「はぁぁぁぁ…」
隆二「珍しいじゃん。喧嘩なんて、」
剛典「なんか…めっちゃムカついて…」
直人「要するに嫉妬でしょ?」
直人のド直球な言葉に黙る剛典。
直人「温厚なAがあんなに怒るなんてね〜。何言ったの?」
優しく聞いているようだが、直人からは黒いオーラが漏れている。
ポツリ、ポツリとあらかた説明すると、
健二郎「アホやな、お前。」
隆二「そりゃ怒るわ。」
広臣「岩ちゃん、Aはサンドバッグじゃねーぞ?」
直己「まったく…」
周りから一斉に非難されている剛典も自分に非があると認めている様子を見て、話を聞いても黙っていた直人が口を開く。
直人「あのなぁ、岩ちゃん。ここどこよ?」
剛典「え?ニューヨークっす。」
直人「そう!ニューヨーク!俺達が変装もせずに過ごせる素晴らしい場所!こんな所に来てまで喧嘩するバカは誰だ?」
剛典「…俺っす、」
直人「ったく、Aこの仕事めっちゃ楽しみにしてたんだぞ。みんなで思い出作れるってウキウキしてたの知らないの?」
広臣「1週間前からソワソワしてたよな。笑」
隆二「レコーディングもいつもより絶好調だったしね。笑」
直人「Aが男とベタベタして嫌なのは分かる!俺らだって嫌だからね!でも俺らと同じようにAだって俺らが絡みあるの嫌なんだよ?」
剛典「え?」
驚いたように顔を上げて直人を見つめると、直己が優しい顔で言った。
直己「岩ちゃんが撮影してる時、A珍しく妬いてたよ。」
広臣「俺らの時もだけどな。」
健二郎「今は黙っとれ!」
直己「それにAね、ここ1ヶ月休みが全く無かったみたいで、飛行機に乗ってる時も大分疲れてたんだ。」
直人「いつもだったら優しく流してただろうけどね。イライラしてる時に、急に自分の行動を否定されてカチンときちゃったんじゃない?」
剛典「はい、すみません。」
隆二「ほら、早く仲直りしてきな。」
隆二は肩を落とした岩ちゃんの背中に手を当てて、前に押し出してAの後を追わせた。
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作者名:さくら | 作成日時:2018年5月3日 17時