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健二郎「あ、あれあかんやつちゃう。」
広臣「あ？」
隆二「チッ…」
ボーカルが行こうとした時、すごい速さで誰かが通り過ぎた。
剛典「この子、俺のだから。」
Aを後ろから抱き込み、相手の男にそう言い放った剛典。
すると相手は諦めたようで、残念そうな顔をして背を向けた。
「ありがとう、剛典」
剛典「……」
「剛典？」
男がいなくなっても離そうとしない剛典に首を傾げる。
少しして返ってきたのは低く怒っているような声
剛典「お前さぁ、もっと危機感とかないの？」
「…なに？」
Aが体を離して向かい合うと鋭い眼差しと目が合う。
剛典「もっとちゃんと警戒しろって言ってんの。撮影だとしても男と密着しすぎ。相手に気のある素振り見せんな。」
その乱暴な物言いに珍しくカチンときたA。
ただえさえ最近は行き詰まっていた所に、面白くないボーカル組や剛典の撮影を見て苛立ちを感じていたのに、
突然の剛典の喧嘩腰に、普段温厚な彼女にもスイッチが入る。
「撮影だから仕方なくない？別に気のある素振りだって見せてないけど。」
剛典「見せてんだよ、お前はいつもいつも、」
「剛典だってキャストさんとイチャイチャしてたじゃない。どうして私だけそんなこと言われなきゃいけないの？」
剛典「俺は最低限にしてるし、撮影が終われば直ぐに離れてる。お前みたいにいつまでもくっついてない。」
「…なにそれ、私が男好きみたいに言わないで。相手には感謝を伝えてるだけだよ。」
剛典「だからそれがっ！」
「もういい！！」
これ以上言い合っても意味が無いと判断したAは足早にその場を去る。
珍しく大声を出したAに驚いている直人達の横も通り過ぎて建物の中に入っていった。
直己「岩ちゃん？どうした？」
ただならぬ末っ子達の様子に全員眉をしかめた。
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作者名：さくら | 作成日時：2018年5月3日 17時
