水やり二十五回目。 ページ20
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「ーー首領。生存兵に依ると組合襲撃後、我々より僅かに早く現場に着いた探偵社が、配下の異能者及び紅葉の姐さんを連れ帰ったとの事です。恐らくは『捕虜』として」
「姑息な連中だねぇ」
「如何しましょう。我々と雖も五大幹部の一翼を人質に取られては、迂闊に手が……」
「A君はいるかい?」
「……いえ、その……」
「…………成る程、鏡花君の処だね」
「……済みません、止めようとしたのですが」
「いや、まぁ……いいさ。中也君も苦労しているね」
「……身に余るお言葉です」
心なしかげっそりしている中也に、森はやれやれと諦めたようにため息を吐いた。
「……A君がいないのなら仕方ない……よし!探偵社の社長を殺そう」
「……!」
暗殺がいいなと云う森。一方この場に相応しく無いと云える金髪の女の子……エリスは、その会話を特に気にするでもなく、ケーキの苺にフォークを突き立てた。ザクッ、と軽い音がする。
「……手配します」
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「……姉さん……!」
『鏡花〜!久しぶりっ!!元気してた〜!?!?』
「うん……姉さん、怒って……ないの?私の事、嫌いにならないの……?」
『エッ何!?鏡花のこと嫌いな輩なんていんの!?!其奴は即ぶちのめしてや……』
「そうじゃなくて……!」
やっと鏡花に追いついたー、と思っていると、急に歩みを止めて、鏡花が振り返る。その瞳は涙で潤んでいた。
「……私、姉さんに何も云わずに……勝手にマフィアを抜けちゃった……!!」
『………………へい?』
「姉さん、これまで……私にとっても優しくしてくれたのに……!」
……そんなこと、気にしなくてもいいのに。
私より鏡花の方が何万倍も優しいじゃないか、まったく。私はかなりの幸せ者だな。
『鏡花』
「……?」
『……あの人虎さん、好き?』
「えっ……?」
『判った、云い方を変えよう。人虎さんのこと、守りたい?』
「……うん。守りたい」
こく、と鏡花が静かに頷く。
「私は彼に命を救われた。……どれだけ返しても、返し足りないくらい……色々貰った。だから、今度は私の番な筈。絶対守りたい」
『そそそそそそそっかぁ』
「姉さん、そが多い」
ちくしょうなんなのこの子。超イケメンなんですけど。惚れた。あいや元から惚れてたわ。
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雪華 - 知ってるアニメは何ですか? (2019年4月15日 16時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - ゆあさん» 安定の姉貴…… (2019年4月14日 19時) (レス) id: 0b6159a6d2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - お姉様はいつでもお姉様だなぁ……すき…… (2019年4月14日 19時) (レス) id: 88f41cbc7c (このIDを非表示/違反報告)
歴史馬鹿 - また質問するね?鏡花ちゃんとお姉さんは紅葉お姉さんの着せ換え人形にならなかったの? (2019年4月12日 17時) (レス) id: 9576c83dfa (このIDを非表示/違反報告)
歴史馬鹿 - お姉さん質問お姉さんは鏡花ちゃんと接吻しないの? (2019年4月12日 16時) (レス) id: 9576c83dfa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みず | 作者ホームページ:http://twpf.jp/uranai_mizu
作成日時:2019年3月2日 11時