友達探し30日目 ページ34
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「……十数年前?つーと……」
『9歳か10歳か……でしょうか』
「そんな前かよ……」
『そんな前ですよー』
……私の中で、まだ完全に吹っ切れていないこと。
今でも後悔することがある。あの時私は、もっと器用に動けなかったのか、って。
『十数年前、ごんは信号無視をした車に撥ねられて……死にました』
「……………………は?」
桜庭ちゃんはごんを見て、私を見て、にこりと顔をひきつらせて笑った。
「……おい新美、冗談なら止めろよ」
『冗談じゃありませんよ?ごんは死にました。私の異能が開花したのは、それからしばらく経った日のことです』
「…………」
『……すみません。「なんでもいい話」にも限度がありますよね』
「たりめーだ。……もういいよ、その話しなくても。お前が辛いんなら」
『…………はい。あの、ちょっと背中……貸してもらえませんか?』
「あー?背中?んなもん……」
……ぼろぼろと溢れてくる涙を拭うので精一杯だった私は、桜庭ちゃんの顔が見れなかった。
もっと、別の話をした方が良かったかな。……駄目だ。それじゃ、ごんを忘れようとしてるのと一緒だ。
「……今回だけだぞ」
『………………ぅ……』
桜庭ちゃんは不思議な人。
不愛想で冷たいのに、すっごく優しい人。
……私が辛いときは黙って側にいてくれるのに、自分の弱みは見せてくれない。
そんな人、だと思う。
『……わ、たし、ごんにっ、なにも、して……あげられなくて……』
「ん」
『ごん、私のせいで、死んじゃって。……みんな、泣いてて。でもそんなみんなにも、やっぱり、何もできなくて』
「……そうか」
『………………ごめんなさい、桜庭ちゃん』
「……謝るな。黙って泣いてろ」
『……はーい』
……ああ。
私、この人は、この人は絶対に。
絶対に、守りたい。
──次の瞬間。急に、背中の体温がなくなった。
『桜庭ちゃん……?』
…………振り返ると、桜庭ちゃんが倒れていた。
……何がどうなってるの?
「……新美。未だ……ウイルス異能者は、捕まってないんだよな?」
『は、はい……』
「お前は……頭痛く、ねーのか?」
『はい……?』
「──ッ!!」
桜庭ちゃんは痛そうに頭を抑えている。……真逆とは思うけど……ウイルスの再発……!?
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因みに新美ちゃんの過去話が知りたいお方はこちらからどうぞ。
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みず(プロフ) - 即直してきました。完璧です(ドヤ顔) (2018年9月22日 22時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - ゆあさん» ふひゃああああああぁああああ!!!!やっちまったぜスライディング土下座ーーーー!!!!(ズザアアアアアアアアアア) (2018年9月22日 22時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - いやみずちゃーん!かなり前にも言ったが“弁別”よ!!不覚にも吹いたその二よ!!!← (2018年9月22日 22時) (レス) id: be7752c821 (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - ゆあさん» 与謝野先生の解体ショー(?)、新美ちゃんは未だ受けてないらしいです。 (2018年8月29日 15時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 大丈夫だ桜庭ちゃん。皆、これを経験して大人になるんだよ(`・ω・)bグッ! (2018年8月29日 13時) (レス) id: 2d3bbb4ab3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みず | 作者ホームページ:http://twpf.jp/uranai_mizu
作成日時:2018年4月3日 19時