四十九輪の花 ページ7
・
「ーーだけど不憫だなあ。突き技じゃ鬼は殺せない。頸だよ、やっぱり頸を斬らなきゃ」
「……突きでは殺せませんが、毒ならどうです?」
しのぶ姉さんが刀を鞘にしまう。特殊な音がした。…………毒って……藤の花の毒……だよね……?
《ーー胡蝶の様子がおかしい》
《ーーしのぶさんからはずっと、戦ってる音が》
…………ああ。
しのぶ姉さん。姉さん、もしかして。
嫌、だよ。
……嫌だよ、嫌……!!だって
「ガハッ……これは……累君の山で使った毒より強力だね」
床に手を付き、崩れるように血を吐く上弦の弐。きっとしのぶ姉さんは分かっている。この鬼に、自分の唯一の武器が効かないこと。
「……あれぇ?毒、分解できちゃったみたいだなあ。ごめんねえ。せっかく使ってくれたのに!」
そう。上弦は、毒なんて瞬時に分解する。耐性がついてるんだ、とっくに。
姉さんはきっとそんなことをとっくに計算に入れて、そして。……そして……!!
「ーー次の調合なら効くと思う?やってみようよ!」
「……そうですね、いいですよ、まあ。このあたりまでは想定内ですから」
ひゅんひゅんと刀が空を切る音。
思わず私は、……姉さんの肩を掴んでいた。
『だ……っ!駄目姉さん!私がやるから、姉さんが下がっててよ!!』
「A。あなたはどこかで隙を見つけてあの鬼に攻撃をしてください。あなたなら頸が落とせるでしょう」
『嫌だ!!だ、だって姉さん、姉さん……っ!!』
「…………A、あなたもしかして……」
姉さんの額に、汗が浮かんでいる。気づいてしまったみたいだ、私が、姉さんを止めようとしてるって。
……すごく遠くの方から、だんだんと、
だって、それしか方法を知らないから。
『とにかく私だってやるときはやるってとこ見せてやるんだから!!姉さんは絶対私が守るよ死なせない!姉さんには普通の女の子として幸せに生きてほしいってカナエ姉さんも言ってた!』
『ーー勝負だ上弦の変態!!!』
姉さんを背中に庇ってから、カチャリと刀を鞘から静かに抜いて、屑野郎に向けた。……ここからは一対一の真剣勝負だ。
覚悟しろよ、この下衆が!!!
180人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れい(プロフ) - めちゃめちゃに笑ったしめちゃめちゃに面白かった…です…永遠に見てたい (2020年9月12日 3時) (レス) id: e48ff50660 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな(プロフ) - こんなかわいい姉妹がいたら絶対シスコンになってしまう笑おもしろかったです!!!!!!! (2020年9月11日 18時) (レス) id: ec54d11116 (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - 猫丸。さん» 更新がん…がんばる…………… (2020年4月8日 12時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
猫丸。 - 安定の面白さやな、その才能わけろ(?)シリアスとギャグの切り替え上手すぎですか、おいらを弟子にしてくだせえ!!!おーん、更新楽しみにしてるよーん、応援してるよーーん (2020年4月6日 13時) (レス) id: 144e3b7d1c (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - 桜さん» 誤字率に定評がある女がまたやらかしたみたいですねすみません!!!!!しのぶさんは救われましたイエーイ!!!!!!コメントありがとうございます、更新は……気長にお待ちください!!!!! (2020年3月17日 21時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みず | 作者ホームページ:https://twpf.jp/oni_kome
作成日時:2020年3月4日 19時