六十三輪の花 ページ22
「しのぶちゃんのことだよ!そっか、俺あの子の毒で死んだんだよね。可愛いねしのぶちゃんって」
『…………』
「本当に存在したんだなあこんな感覚が。もしかすると天国や地獄もあるのかな?」
……嫌な予感は的中した。頬を赤らめるな気持ち悪い。
てかなんでこいつ死んでねえの。いや死んでるのか。えっこいつ死んでんの??(落ち着け)
「ねぇAちゃん、ねぇ、しのぶちゃんに俺と一緒に地獄へ行くように頼んでもらえるかな?」
『とっととくたばれ糞野郎』
アホ。誰がんなこと言うか。
鬼の首は私の手から落ちて、闇に呑まれるように消えた。あーあー万々歳。やっと死んだか……。
「こら」
『あだっ。……え、カナエ姉さん?』
ぽか、と軽く頭を叩かれた。……なんで姉さんがここに……。
「Aったら……しのぶを助けたことで油断したわね」
『う、あ〜はは……。その通りです……』
「……出来ることならしのぶにも……Aにも、普通の女の子として生きていてほしかった。そしたらきっとあなたたちは、今でも怪我ひとつなく幸せに暮らせてたはずなのに」
『…………ヴ』
悲しそうに目を伏せる姉さんを見て、思わず言葉に詰まってしまう。
し、仕方ないじゃんか……。姉さん二人が頑張ってるのに、私が頑張らないわけには……。
「それに、つい最近までずっとあなたは自分を責めていた」
『へ!?そ、それは』
「……けれど……お館様としのぶのおかげで、それをやめてくれた」
『……あ、うん……』
な、なんか恥ずかしいな。そりゃ確かに、そん時の私は阿呆だったけど……。
「あなたは、生きなさい」
『……え?』
「またしのぶを置いていくつもり?……しのぶを泣かせるつもり?自分の心に素直になったカナヲの泣き顔を最期にするつもり?
答えなさい。あなたがいない今、誰が二人に光を灯してくれるの?」
姉さんは答える暇さえ与えてくれない。呆気に取られている私を見て、続けて私をその目で射抜く。
光を灯す。私は、二人に光を灯せてたの?……。私が?
「どうか忘れないで。あなたに、戻ってきてと望む人がいることを」
『……っでも、私の体はもうほとんど……あいつの氷に蝕まれてる!!指先から心臓にかけてゆっくりゆっくり……!!片腕は斬り落としたけどもう片方の腕はもうきっと動かないよ!!』
「大丈夫。鬼は倒したんでしょう、ならその血鬼術もすぐ収まる」
『……でも』
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れい(プロフ) - めちゃめちゃに笑ったしめちゃめちゃに面白かった…です…永遠に見てたい (2020年9月12日 3時) (レス) id: e48ff50660 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな(プロフ) - こんなかわいい姉妹がいたら絶対シスコンになってしまう笑おもしろかったです!!!!!!! (2020年9月11日 18時) (レス) id: ec54d11116 (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - 猫丸。さん» 更新がん…がんばる…………… (2020年4月8日 12時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
猫丸。 - 安定の面白さやな、その才能わけろ(?)シリアスとギャグの切り替え上手すぎですか、おいらを弟子にしてくだせえ!!!おーん、更新楽しみにしてるよーん、応援してるよーーん (2020年4月6日 13時) (レス) id: 144e3b7d1c (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - 桜さん» 誤字率に定評がある女がまたやらかしたみたいですねすみません!!!!!しのぶさんは救われましたイエーイ!!!!!!コメントありがとうございます、更新は……気長にお待ちください!!!!! (2020年3月17日 21時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みず | 作者ホームページ:https://twpf.jp/oni_kome
作成日時:2020年3月4日 19時