胡蝶家三女は超絶シスコン part2【鬼滅の刃】

六十輪の花 ページ19

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『カナヲ！！伊之助くん！！聞こえる！？今すぐこのクソ野郎の頸を狙って！！』


思い切り腹から叫べば、二人は私の方を振り向いた。鬼は当然ながら訳が分からない、といった顔をしている。


「……っでもA、しのぶ姉さんは……！」

『大丈夫大丈夫私がそっちの分身相手するから！ーーオラ来いや雑魚ども！！！』



へいへ〜いこっちだぜこのクソが〜！と手を叩くと分身の攻撃対象は一気に私にシフトした。ちょろすぎだろこいつら。(ブーメラン)

ーー偶然、聞いたんだ。しのぶ姉さんとカナヲの会話。上弦の弐の倒し方。



《ーー現在私の体は、血液・内臓・爪の先に至るまで、高濃度の藤の花の毒が回っている状態です》

《ーー今の私を喰った場合に、その鬼が喰らう毒の量は》

《ーー私の全体重、三十七キロ分。致死量のおよそ七百倍です》


しのぶ姉さんはハナから、生きてこいつを倒すつもりなんてなかった。自分が死ぬことが、鬼を倒すための絶対条件。
しのぶ姉さんは喰われなくちゃいけなかったんだ。そうしないと皆死ぬって分かってたから。でも馬鹿な妹がそれを阻止したから、それができなくなった。


……さっき姉さんを斬ったのはそのためだ。

少量の血液や爪だけでも、少しは弱体化するはず。加えて遅効性の毒を打ち込めば勝機は必ずある。そう思って、殴って蹴る時こっそり高濃度の毒を含ませるのに成功してる。



『………………おん？』


分身の人形が、パキパキと崩れ落ちた。……毒が効き始めたんだ。現にあいつは膝をついてる。弱ってる。……いける！！



「ーー伊之助、頸を狙って！！！一気に追い込む！！」

「ーー往生しやがれド腐れ野郎！！」


藤の花の毒で顔を、全身を腐らせた鬼に二人が斬りかかる。ーーその時。



「……血鬼術ーー霧氷・睡蓮菩薩」



ーー私たちの何倍も大きな、菩薩の姿をかたどった氷が姿を現す。はあ！？ここまできてこんな大技！？……私も加戦するか！？いやでもしのぶ姉さんが……！！

あわあわと何もできずにいる私に、カナヲが声を上げる。


「A！！Aはしのぶ姉さんを看てて！！」

『っは、え、ちょ……っ！？』

「私を信じて！！」

『う……！！！』

必死な顔だった。……ああもう仕方ねえな！！！


「花の呼吸……終の型ーー〈彼岸朱眼〉」



目を赤くしたカナヲは、凄まじい速さでグズグズになりかけた鬼の頸へと刀を向けた。
……な、なに！？何使ったの！？……本当に……大丈夫、なの……！？

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