占い学についてはなすだけ。 ページ8
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「なんでこんなとこ、わからないの？基礎もいいとこよ」
場所は空き教室。イヴ・クラウチは大げさにため息をこぼしてみせた。そして軽く背伸びをして。少し高い机に腰かけた。
「だって……占い学ってあまりに不確かだろ」
「は？」
肩をすくめるフェイロン・リーに、イヴは思わずにらみつけた。するとフェイロンは小さく身を縮めた。よくわからないけれど、地雷を踏んだことは確かである。
「お言葉ですけど、それは努力をしない人間のいう言葉よ。やる気がないなら帰らせていただくけれど？」
「あー、ごめんって。もう言わねーから」
フェイロンはそう言って紅茶のカップに向き合った。新たな薬品の制作に、フェイロンは紅茶占いに目を付けたのである、占い付のものは、女子人気間違いなしだから。
フェイロンはカップを睨みつける。イヴはとりあえずなにか予言をしてみろというけれど、難しいったらありゃしない。これは猫……いや犬にも見える。待てよ、意外と狐の可能性も捨てきれない。
数分経って、フェイロンは飽きたように顔を上げた。前ではイブが黒板に落書きをしている。
「うわ猫うま」
「……集中なさいよ」
イヴはため息をついて急いで黒板を消す。少し照れているのだろうとフェイロンは心の中でにやりと笑った。そんな彼を厄介気ににらみつける。
「でもイヴが占い学が好きなのって意外だよな。なんというか、根拠のないことは信じそうにないように見える」
「そういうことは言わないほうがいいわよ。うわべだけで人を判断するあんたの粗末な人柄が見えてくるもの」
「マジか。困ったな。んで、なんで？」
嫌味をすっかり流したフェイロンに、イヴは軽く眉をひそめた。しかし彼女はそれについては何も言わなかった。
「占い学に必要なのは素質じゃないわ。たゆまぬ努力よ。もっとも、トレローニーはそうはおっしゃらないだろうけれど」
「と、いうと？」
「占い学にはいろいろな努力が必要になってくる。例えば観察。あなたは今どのように考えているのか、つらい思いをしている、嬉しい思いをしている、それによってかける言葉は変わってくる」
見定めるようにイヴはフェイロンを見る。
「言葉選びも考えて。陳腐な言葉よりも壮大な言葉を使った方がいいわ。できるだけ難しい言葉もね。でも、たまにそれをいぶかしむ人間もいるわ。だからそれについても深く考えなければいけない」
続く
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作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2021年12月14日 1時
