▽知識の源 ページ5
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私の書いた手紙は本の商人に宛てたものであった。
櫻鏡園には2週間に一度さまざまな物を売る商人たちがやってくる。令嬢たちは母国からの仕送りを受け、思い思いの品を買うのであった。
とはいえ品物は令嬢に向けて誂われた物で、いつも来る本商人は児童文学のような簡単な読み物しか持ってこなかった。
当然だ。歴史書や哲学書なんか持ってきても、欲しがる令嬢など居やしないのだから。
そこで私は本商人に本のリクエストを書いた。歴史書や生物図鑑なんかを適当に見繕って持ってきても欲しいと。
書き終えた手紙を封筒に入れて、封蝋を押す。明日の朝一で使用人に渡せば次来るまでには届くだろう。
我ながら良い案だ。私は自分を褒め称えながら疲れた体をベッドに沈めた。
そんな事があって約一週間。がやがやと騒がしく商人達が建物内へと入ってくる。
そこには1人他とは違う出で立ちの男が混ざっていた、本商人の横に並んで立つ男。空から掬い取ったような淡青の髪。牛乳瓶の底のような眼鏡のせいでその奥の瞳を見ることは出来ない。
本屋のお弟子さんだろうか？空色の髪は母国の民を連想させ少し懐かしい気持ちになる。
何かを探す様に辺りを見回しているが、誰か知り合いでもいるのか。
「あぁ！いたいた！A令嬢、お久しぶりで御座います」
『ご機嫌よう、お元気そうでなによりですわ』
人の良さそうな笑みを浮かべる主人に、微笑み返し挨拶をする。正直お嬢様言葉がしんどい。
「お手紙拝見致しました。こちらでいくつか初心者向けの物を取り揃えましたのでご覧下さいませ」
『ありがとうございます』
いつの間にやら並べられた書籍の数々に目を通す。やや文字が大きめだが私レベルじゃ丁度良いくらいだろう。
数冊の本を選ぶと何やらじっとりとした不穏な視線を感じた、先程の眼鏡の彼からだ。
視線の元へと目を向ける。バチリと視線が交わると、目の前の男はニヤリと口角を上げた。
え、何その顔怖い。口に出来ない想いと裏腹に、なんとか会釈を返す。
「A令嬢、随分と小難しいご本をお読みになるんですね？」
敬語で話す彼の言葉には関西弁のアクセントがある。さてはこれ商人じゃなくて軍人だな？
『ええ、たまには趣向を変えた物を読みたくて』
「なるほどなぁ、そらええわ」
煽るような声にカチンときたが、眼鏡の奥に見えた疑惑の色を纏うサンストーンの瞳に心臓が冷える。
あれ、もしかして、私何か疑われてたりする？？？
ラッキーゲーム
hoi
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山西 陽朔 - 考えさせられる小説ですね!次回作は南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏するということを作品にするのはいかがでしょうか? (2023年4月30日 18時) (
レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - ユッケさん» コメントありがとうございます。好きだと言って頂ける事が何より励みになります。続編でも気長にお付き合いくださいませ！ (2019年8月24日 17時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 未人さん» ありがとうございます！続編も気長にお付き合いくださいませ。 (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 黒コマ先生さん» コメントありがとうございます！続編もぼちぼち張り切って参りますので宜しくお願い致します！ (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 紅葉さん» コメントありがとうございます！初期からのご愛読恐悦です。続編でもよろしくお願いいたします！ (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あん肝ポン酢丸 | 作成日時：2019年8月4日 8時
