▼無垢な乙女 ページ36
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「まあ鬱様！ようこそ御出で下さいませ」
「やあ、こんにちは」
きゃあと黄色い声を上げた女の子達に、爽やかを装って挨拶する。彼女らは確かいつもスティナータの傍に居る娘達だ。
「今スティナータ様をお呼びいたしますわ」
「ありがとうな。あ、その髪飾りええな僕色や」
「まぁ……！そんな……」
顔を赤らめて喜ぶ姿に悪い気はしない。あんまやるとこの後来る女が怒るので程々が肝心だが。
テキトーに目に入った髪飾り１つ褒められた女は足早にスティナータの所へと向かっていった。
「鬱様！お久しぶりですわ、私とっても寂しかったのよ？」
「ん〜、ごめんなぁ。お国の仕事が色々あってん」
桃色の髪を靡かせてスティナータがやってきた。
軽く腰を引き寄せて囁いてやる。惰性で続けてきた関係だがそろそろこれも潮時かもしれない。
「ねえ、私も鬱様達のお手伝いがしたいわ」
「うん？そんなん他所のご令嬢にさせられへんよ」
「でもあの娘はしてるのでしょう？」
俺がこの女との関係を切ろうと思う専らの理由はこれだった。
昔から面倒な事を言うこともあったが、1人の王女が城に仕え始めてから更に要求に拍車がかかっていた。
「あれはグルッペンが個人的に雇ってるだけやから」
「でも……！」
「でも何？僕が来るだけじゃ足らんの？」
「……」
ヘラリと笑いつつ強めに釘を刺しておく。
俺に言ってくる内はまだマシだ、これが偶に此処を訪れるマンちゃんにでも言おうものならその先を考える事も恐ろしい。
一見して優男のような彼だが意外とそういうのには容赦ない。他のメンバーは論外だろう。
「じゃあ、そろそろ行くわ。」
「もう行ってしまわれるの…ねえ、次はいつ来てくださる…？」
「……近いうちに」
その辺に脱ぎ捨てた服を拾い着てドアノブに手をかける。ベッドの中から聞こえる甘ったるい声には曖昧な返事をした。
恐らくもう2度と俺がこの扉を開くことはない。
屋敷の外へ出ると、見慣れた少女の姿が見えた。
「あっAちゃんやん。やっほ」
『ご機嫌よう鬱様、今お帰りですか？』
海の国から来た王女、櫻鏡園の最年少。
ふんわり笑ってお辞儀をする幼げな彼女に妙な後ろめたさが湧いた。
なんだかいつもと雰囲気が違うと、Aちゃんの髪を飾る黒いリボンを見つけてある事が思い出される。
「そういやこれから会議やわ。ほな、またな」
『えぇ、また』
軽く片手を上げて別れを告げ、俺はある場所へと足を向けた。
ラッキーゲーム
hoi
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山西 陽朔 - 考えさせられる小説ですね!次回作は南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏するということを作品にするのはいかがでしょうか? (2023年4月30日 18時) (
レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - ユッケさん» コメントありがとうございます。好きだと言って頂ける事が何より励みになります。続編でも気長にお付き合いくださいませ！ (2019年8月24日 17時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 未人さん» ありがとうございます！続編も気長にお付き合いくださいませ。 (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 黒コマ先生さん» コメントありがとうございます！続編もぼちぼち張り切って参りますので宜しくお願い致します！ (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 紅葉さん» コメントありがとうございます！初期からのご愛読恐悦です。続編でもよろしくお願いいたします！ (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あん肝ポン酢丸 | 作成日時：2019年8月4日 8時
