鍵を求めて何年目 2 荒北 ページ6
コンコンと、部室のドアを何回かノックすると、一人の男の子が出てきた。
見慣れない顔なので、多分後輩なのだろう。
「何かようですか？」
『あ、あの、この部活の人で、3年2組の人……居る？』
「3年2組……？……あ！荒北さんだ」
(あ、荒北君、自転車部だったんだ………)
荒北君。同じクラスといのは知っていたが、喋ったこともないし、というか、“怖い人”……そういう印象が強い人。
『え、えっと、じゃあ……荒北君居る？』
「あー……今、3年生は学校からちょっと離れた山で練習してるから………帰ってくるの、あと1時間かかりますよ？」
(ど、どうしよう…………)
待つ？一時間待つのは、さすがにちょっと………
(諦めるか………)
「どうします…？……って、あれ？荒北さん？」
『え…………』
話していた男の子が言った後ろには、荒北君が自転車を持って、こっちに来ていた。
同じクラスだというのに、こんな近くでまじまじと見たのは初めてで、少し、ほんの少しだけ、心臓が動いたのが分かった。
「あれェ？(人1)チャンじゃん。どうしたァ？」
『え、えっ、え？！』
荒北君に話しかけられたのでびっくりして、変な声が出たが、一番びっくりした事は…………
(な、名前……覚えてもらってる………)
自分で言うのもなんだが、私はクラスでも地味な分類に入っていて、名前すら覚えてもらってないと思っていた。
(……なのに、覚えてもらってた。)
「荒北さん。この先輩、荒北さんを探してたんですよー？」
「え、あ、マジでェ？」
「んで？(人1)チャン、俺に何か用？」と、続けて言い、少し優しい感じに微笑んだ。
(荒北君も、こんな顔するんだ………)
『え、えっと、荒北君、教室の鍵……持ってますか？』
「鍵？……あぁ……これの事かァ？」
荒北君は、ジャージのポケットから、教室の鍵を取り出した。
そして「あいよ」と言って、私に鍵を渡した。
「あ、だから戻ってきたんですか？荒北さん」
「おう、練習中に鍵の事思いだして、そしたら福チャンに返してこいって、言われてな」
「忘れちゃ駄目ですよー迷惑かけた人が居るじゃないですかー！」
後輩の子が私に指差して言うと、荒北君は「悪ぃな、」と、言いながら私の頭を、ぽんぽんと優しく撫でた。
今、私の鍵穴に鍵が刺さった。
そんな感じがした。
END……!!
鍵を求めて何年目 番外編→←鍵を求めて何年目 1 荒北 あやさんリク
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒 - 面白くてニヤけがとまりません！！リクなんですが御堂筋の話をおねがいします！ (2014年1月16日 1時) (
レス) id: 852c1d97f1 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー(プロフ) - 初コメ失礼します＾＾リクエストで新開さんお願いします！！ (2014年1月1日 18時) (レス) id: 0e93e78a42 (このIDを非表示/違反報告)
☆ノラクロ☆(プロフ) - はじめまして！突然ですいません、リクで御堂筋の話書けますか？ (2013年12月18日 15時) (レス) id: 544f5439f9 (このIDを非表示/違反報告)
アン(プロフ) - 菴火さん» はい！またぜひお願いします！！ (2013年12月14日 22時) (レス) id: cd443a0446 (このIDを非表示/違反報告)
菴火 - アンさん» いえいえ、喜んでもらい嬉しい事です^^またのリクエストをお待ちしてまーす^^ (2013年12月14日 22時) (レス) id: af7760a29a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：菴火 | 作成日時：2013年8月17日 0時
