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「……僕の周りには、割といい人がいっぱいいるみたい」
そう呟けば、彼女は口を半開きにして僕を見た。その顔には、確かに何言ってなこいつと書かれている。僕は彼女の瞳を見つめたまま、心の底でため息をこぼした。そういえば彼女はグリフィンドールで、きっと彼女の中でスリザリンは悪なのだ。ああ、彼女とは当然だけど、ハーマイオニー・グレンジャーのこと。
「スリザリンって、いつも何を話しているの？」
彼女はホグワーツの秘密をパラパラとめくりながら、興味なさげに僕に問うた。
「何って……今日の天気とか、クィディッチとか、あとは、先生の愚痴とか？」
すると彼女はぴたりと手を止めて、僕を見上げた。首をキョトンとかしげてこちらを見つめるハーマイオニー。何だこの可愛い生き物は。そう思ってしまうのも、仕方がない。
「意外と普通なのね」
「えっ、うん。まあ」
予想外の言葉に僕は首をかしげて肯定する。彼女はスリザリンを何だと思っていたのだろうか。
「最近あなたの元気がないから、あなたにとって嫌な話をしているのかと思ったわ」
二つ続けて予想外。だけれどこれは、ハーマイオニーが僕をそれなりに見ていてくれたのだということだろう。思わず緩みそうになった頬を無理矢理に抑えて、僕はハーマイオニーに微笑みかける。この笑みはきっと情けなく緩んでないだろうから、大丈夫。
「ありがとう、ハーマイオニー。でも、別に寮全体で嫌なことがあったわけじゃないから、気を使わせてごめんね」
すると彼女もふっと微笑んで、そして言った。
「気にかけるのは当然だわ。あなたは大切な友人ですもの！」
その言葉に、僕の笑顔がピシッと固まったのは、言うまでもない。
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作者名：あんころころもち x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2019年5月13日 9時
