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「あら、梟だわ」
22時をすぎたあたり、(ダフネも僕らもシャワーを浴びた後だ)闇の中から、闇色のフクロウがコツコツと窓をつついていた。ダフネはそれを談話室の中に入れて、セオドールの前に差し出した。
「あなたの家のフクロウだわ」
「……」
セオドールは面倒臭そうにフクロウを受け取って、手紙を受け取る。しかし宛先だけを見た彼は、杖を取り出し、それに火をつけた。ぼっと言う音とともに、焦げ臭いが辺りに充満する。僕とダフネは慌ててそれを水増し呪文で消化する。
「な、なにしてるのさ、セオドール。誰からなの？」
「……父上からだ」
悪びれもなく、彼は言う。父親から受け取った手紙を読みもせず、それに火をつけて燃やすだなんて、僕には正気の沙汰だとは思えなかった。
「はあ？」
「……なに」
「なんでそんなことができるの？君の唯一の肉親なんでしょう？どうして燃やしたりするの？」
「……君には関係ないだろ」
僕の言葉を、セオドールがやはり興味なさげに冷たくバッサリと彼は切る。カッとなって、僕は怒鳴った。
「そうだね、その通りだよ。僕には関係ない！でもだからこそ、君は愚かだ」
「……」
「いつ君のお父様がなくなるかわからないのに、なんでそんなことができるんだよ！君には両親がいるんだから、そんな、バカなこと、するべきじゃない！君は知らないんだ。家族を失う悲しみが、だから、そんなことしないで！」
「……」
相変わらず彼は黙ったままで、その沈黙が、僕の怒りを増幅させる。
「なんとかっ……」
「黙れ、A・ブラック」
やっとの事で彼の口から出た言葉は、思ったよりも冷たかった。
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作者名：あんころころもち x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2019年5月13日 9時
