396限目 ページ3
僕が帰ってきたころにはまだ明るかった室内が、薄暗いくなり始めたころ、セオドールが初めて僕の方を見た。僕もその気配に、思わず顔を上げる。
「なにを読んでるんだ？」
「ブラック邸で貰った書物。闇の魔術に関する本だって」
「へえ」
ジッと本を見つめるセオドール。僕はその言葉ですべてを理解する。これは読みたくてうずうずしているときの珍しい顔だ。
「読む？」
「ああ」
僕は彼にそれを手渡す。そしてしばらくして、セオドールはうんともすんとも言わなくなった。読書に集中し始めたら、彼はもうどうしようもなくなる。
僕は立ち上がって台所へ足を運んだ。普通にここに滞在していたら夕食当番は僕の番だからだ。適当に何かを作ろうと、大きな冷蔵庫を開く。
「……んー」
前述したとおり、僕は全く持って料理なんて得意ではない。だからパンと野菜とハムとドレッシングだけを取り出して、適当に詰めていく。セオドールも食に頓着がないのか、いつも何も言わない。彼とダフネの作る料理は、少し豪華だけれど。
思ったよりらしくなって、僕はそれをリビングに持っていく。セオドールはまだ本を読んでいた。僕は電気をつける。そうすると、彼は顔を上げた。
「A」
「ん？なに？」
「これ、1ページだけ写してもいいか？」
なんだか弾んだ声を聴いて、僕は頷く。何かいいことでも書いてあっただろうか。おじいさまがおっしゃったとおり、血の呪いについてのページはあまり収穫があるようには感じられなかったけれど。彼は賢いから、なにかわかったのかもしれない。
「あと、この本だけど」
「うん」
「あんまり人に見せないほうがいい。闇の魔術の解除について、無効化する呪文、そしてまだ世に出ていない恐ろしい闇の魔術なんかがたくさん書いてある。この本の存在を消したいやつも、悪用したいやつも、ごまんといるだろう」
「わかった」
たしかに、言われてみればその通りだ。僕は大人しく頷く。
それを確認すると、セオドールはリビングへ歩いてきて、ブラック家の本の前に読んでいた本を読みながらパンを食べ始める。僕もそれをちょっとだけつまんで、洗濯物をどうしようかと考えた。
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あんころころもち@多忙(プロフ) - 宮野 ミヤさん» お久しぶりです。ありがとうございます✨私も恋愛からの葛藤が大好物です。おそろですね笑 あうっごく遅い更新ですけれども、お付き合いいただいてすっごく嬉しいです。完結だけはさせる気でおりますので、ぜひよろしくお願いします！ありがとうございました！ (2022年10月2日 9時) (
レス) id: 8fbdbf2cf0 (このIDを非表示/違反報告)
宮野 ミヤ(プロフ) - Part10お疲れ様でした！今Partも楽しく読ませて頂きました、恋愛からの葛藤めっちゃすきです！これから応援してます！！ (2022年10月2日 3時) (レス) @page50 id: 928a7d13f2 (このIDを非表示/違反報告)
あんころころもち(プロフ) - 雪城さん» ありがとうございます〜！一気だなんてお時間をめちゃくちゃ取らせてしまった気が……。読んでいただいて嬉しいです、ありがとうございます！！ (2021年12月17日 21時) (レス) id: e2b3768714 (このIDを非表示/違反報告)
雪城(プロフ) - 面白いです…！！Part1から一気に読んでしまいました！！更新応援してます！ (2021年12月17日 21時) (レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
あんころころもち(プロフ) - 架印�靴気�» 教えていただいてありがとございます〜、そちらも覚え違いです…。時間はかかると思いますが、ちょっとずつ直していきます！改めて教えていただいてありがとうございます〜！ (2021年12月12日 18時) (レス) id: e3a1ddbb66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2021年12月5日 15時
