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「そうだ、先生」
「なんじゃね」
「クリーチャーは、僕の所有になるのでしょうか？」
それは大事なことである。
ポッターが憎々し気に眉をひそめたのを無視して、(クリーチャーの発言がシリウス・ブラックを殺したというのは聞いていたから、安易にそれを責めることはできなかった。)僕は先生のブルーの瞳を見つめた。
「うむ、左様じゃ」
「それなら、お願いがあるんです。クリーチャーをホグワーツで雇ってはもらえませんか？」
「できるとも。しかし、なぜじゃね？」
「彼は、もう何年も、僕や、おかしくなられたおばあさまの肖像画としかしゃべってはいなかった。だから、周りと関わることが大切なんです」
それは、前々から思っていたことである。
彼はあまりにも外の世界を知らない。本来ならば屋敷しもべ妖精としてそれでいいのかもしれないけれど、いずれ僕が死んだあと、彼が一人になったとき、孤独を味合わせるのは嫌なのだ。
「うむ、それも良いのう」
「それじゃ、クリーチャー」
名前を呼ぶと、バチンと音がした後に、小汚い屋敷しもべ妖精が現れた。(それを見てポッターの伯母家族が悲鳴を上げた。)
彼は少し絶望したように僕をじっと見つめている。しかしポッターの所有にならなかったことが救いだったのか、何も言わなかった。でも、その瞳が少し恐ろしい。
もしかすると、彼に嫌われてしまったのではないだろうか。
「クリーチャー。後で僕をノット邸には連れて行ってくれないかな？それが終わったら、君はホグワーツの厨房で働くんだ」
「……クリーチャーは、誇り高いブラック家の屋敷しもべ妖精です」
「知っているよ。何も君を捨てるわけじゃない」
絞り出すように言ったクリーチャーに、僕は努めて優しい声で返した。しかしクリーチャーは僕を睨む。
彼に嫌われるのは、悲しくてたまらないけれど、彼のためになることをしたいのだ。一人ぼっちにさせたくない。
「かしこまりました」
しぶしぶそう言った彼。目をそらして明後日の方向を向かれてしまった。僕は少し悲しくなって、視線を落とす。
「それでは、決まりじゃの」
それから先生はポッター伯母夫妻と何やら話して、僕らを出口に促した。
それに従って、僕はポッターと先生に別れを告げ、クリーチャーと一緒にセオドールの家まで姿現しをするのだった。
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作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2021年9月20日 0時
