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さて、僕らが付いたのはマグルの家の一角である。
なんだかこぎれいな家で、あまり生活感というものを感じられない。僕はその家をじっと見上げた。ずいぶんと小さな家である。
「……」
「ここがハリーの家じゃよ。叔母夫婦と住んでおるのじゃ」
「うわさで聞きました」
なるほど、途中先生が、マグルの商店街で服を購入したのはそれが理由だったのか。
噂では、ポッターの義両親は非常に魔法嫌いだということを聞いていたのを思い出す。
「では、入ろうかの」
先生が呼び鈴を鳴らせば、中から中年の男が出てくる。丸々と太った男で、おそらくポッターの伯父上なのだろう。
「こんばんは。ダーズリーさんとお見受けするが？わしがハリーを迎えに来ることは、ハリーからお聞き及びかと存ずるが？」
そう言うと、奥の方からどたどたと音がして、ポッターが下りて来る。その顔を見て先生は、機嫌よさげに付け加える。
「あなたの唖然とした疑惑の表情から察するに、ハリーは、わしの来訪を前もって警告しなかったのですな。しかしながらあなたがわしを暖かくお宅に招じ入れたことにしましょうぞ。この危険な時代に、あまり長く玄関口にぐずぐずしているのは賢明ではないからのう」
素早く敷居を跨ぐ先生に見習い、僕も中へと入った。ひっそりと辺りを見渡す。外よりもなんだか清潔で、むしろ清潔すぎてどうにかなってしまいそうな家だ。
「前回お尋ねしたのは、ずいぶん昔じゃった。アガパンサスの花が見事ですのう」
ダーズリー氏はなめるように僕と先生を見る。僕は気まずくて目をそらすと、ポッターと目が合って、それも嫌でまた視線を落とす。
「ああ、ハリー。こんばんは。上々、上々」
「失礼ながら申し訳ないが＿＿」
とげのある声に、僕は再びダーズリー氏を見上げる。
「しかし、悲しいかな。意図せざる失礼が驚くほど多いものじゃ。なれば何も言わぬが一番じゃ。ああ、これはペチュニアとお見受けする」
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作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2021年9月20日 0時
