349限目 ページ4
場所は移動して、魔法省神秘部。
色々あって、僕は大人しく彼らについて来た。正直、どうして体が動いたのかはわからない。
とにかくポッターが言うには、シリウス・ブラックが例のあの人によって連れ去られ、拷問されているとのことだった。
「また会ったわね、ブラック。私はジニーよ。よろしくね」
「ああ、よろしく」
神秘部の中のいくつかの扉を開けたところで、ジニー・ウィーズリーに話しかけられる。差し出された手を握って、その表情を見た。この子は怖いものなどないのだろうか。すました顔で笑っている。
「あたしはルーナだよ。ルーナ・ラブグッド。よろしくね、A」
隣から話しかけてきたのはブロンドの女の子。さっき、一人だけ窓の外を見ていた子だ。僕が何かを言う前に、ウィーズリーの妹が口をはさむ。
「あらルーナ、ブラックを知ってるのね」
「ウン。有名だもン。みんな言ってるよ、新聞のせいで怖がってるけど、顔がかっこいいって」
「まあたしかに、顔はいいと思うわ」
「ルーナって呼んでちょうだい、A。ヴィオラは私の友達なの」
「ヴィオラを知ってるの？」
知っている名前が聞こえて、僕は聞き返す。
「あら、私たちの学年でヴィオラを知らない子なんてほとんどいないわよ。すっごく優しい先輩。私も大好きだもの」
「ウン、ヴィオラは魔法生物のことでよく話すんだよ」
「僕も知ってるよ。彼女、薬草に優しいんだ」
「そうなんだ」
ロングボトムも参戦。ヴィオラは大人しい子だから、有名人とは知らなかった。
「ウィーズリーは」
「あらジニーでいいわ。ほら、ロンもいるし。それにネビルのこともネビルって呼んであげて。ネビル、あなたのことよく話すのよ」
「……」
「ほら、今だけだから」
スリザリンでの立場を考えていた僕に、ウィーズリーが言う。
まあ、今けんかをしても仕方ないし、少しくらいいいだろう。
「わかった、ジニー、ネビル」
一つうなずくとネビルは嬉しそうに笑う。なんだかそれが照れくさくて、目をそらした。
「あー、それで」
「君たち、静かにして」
「ごめんなさい」
ポッターに怒られて、僕らは黙る。しかしすぐに、ジニーやルーナはペラペラと話し始めた。
真っ暗な廊下。何があるのかはわからない。黙っていたら、不安なんだろう。でも僕らは、しっかりと歩いて行く。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 387人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2021年9月20日 0時
