蛇の僕と獅子の君。Part 9【ハーマイオニー・グレンジャー】 (ページ26)

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さて、僕は今日、殺されるかもしれない。あの緑色に体を貫かれ、命を落とすかもしれない。体がこわばる。この人の前は、怖い。まともに息ができなかった。

　でも、やるべきことは、やった。僕は絶対に、この人のものにはなりたくない。

「なるほど、Aと言ったな」

「はい」

「ブラック家の最後の血か」

「殺してしまいましょう、我が君！こんな若造、いつ裏切るかもわからない！ブラックの名を穢したあの男の穢らわしい息子！母親は誰だ？シャフィク家の娘か？プルウェット？どちらにしろ、裏切った二人ではありませんか！」

「黙れベラトリックス」

「……ッ申し訳ございません」

　あの人の一言により、ベラトリックスは悔しげにこちらを睨んだ。僕はそれと目を合わせないように努めて前を見た。

　あの人が、なめるように僕を見る。

「フラン、どう思う？」

「わたくしには、関係のないことですわ。愛しの我が君」

　フランという人物の答えの後、数秒経ってあの人は僕に言った。

「いいだろう、A」

「……」

　僕はあの人を見上げる。変に反応して、心の中を読まれてはたまらない。ただ黙って、もう一度頭を下げた。

「しかし、猶予は五年だ。それまでに貴様がブラック家とやらを復興できなければ……その時は自らの選択でその命を断て。俺様の手を煩わせるな。いいな」

「もちろんです」

　震える手がばれないように、僕はローブの下に手を隠す。そしてもう一度頭を下げた後、後ろへと下がって行った。