穴熊の女 ページ13
たった一枚の布を被せられただけの遺体。防腐作業はもう終わっているそうである。臭いはあまりしなかった。
兄の遺体は、思ったよりも苦しそうで、悲しそうであった。愛する人を守って死んだのだから、もっと、安らかな顔をしていると思ったのに。
「……」
言葉が思いつかない。
てっき安らかな顔をしていると思っていたから、恨み言の一つでも言ってやろうと思っていたのに。
「……」
ただ涙が溢れて、それが頬を伝う。あの方が知ったらお怒りになるに違いない。それでも、悲しまずにはいられなかった。
母はもう、他人になってしまったけれど、兄のまま死んだ兄は、私にとって一生兄なのだ。それは、変わることのない事実。愛された記憶のない兄だけれど、私は心から、家族のことを愛していたから。
「どうして、その道を選んでしまわれたの」
もはやその道が重なることないとわかっていたけれど、それでも、同じ方向に進んでいると思っていた。いつか、いつか、私のことを認めてくださると気が来ると信じていた。淡い期待と走っていたけれど、それでも、願わずには、信じずには、いられなかったのだ。
「……」
溢れた涙を拭いたとき、後ろのドアが開いた。私は振り返る。そこには母がいて、その人は私を見つめていた。
「何か？」
「その者は、野犬にでも喰わせましょう。それがふさわしい死に様でございます。許されざることをした、とんでもない愚か者……」
「いいえ、ロジエール家の墓に入れるべきですわ」
「は？」
「そうでないと、この家は途絶えてしまいますもの。エバン、そこにいらっしゃる？」
「なんでしょう。レイチェル様」
「あなたはどうか、この家を見捨てないでくださいましね」
私はそう言うと、母の隣を通り抜けて、あの方のもとに帰ることに決めた。もう、この家に長居はしたくない。
「あの、レイチェル様。少しだけお話をさせていただけないでしょうか？」
そう言ったのはエバン。私は振り返って、仕方無しにそれに応える。ああ、早く帰ってしまいたいのに。
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あんころころもち@多忙(プロフ) - マニ。さん» ありがとうございます🫶 そのお言葉を励みにがんばります！ (3月7日 2時) (
レス) id: e53fc357d1 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - あんころころもち@多忙さん» ✉️。こっちの作品も面白いです！後だと茶番の方とか遅れてごめんなさい💦、これからも更新応援してます。☺️ (3月5日 21時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
あんころころもち@多忙(プロフ) - あまねさん» やたーーーありがとうございます❤️ (9月16日 15時) (レス) id: 59f64f1814 (このIDを非表示/違反報告)
あんころころもち@多忙(プロフ) - ｴﾇｴﾇさん» ありがとうございます☺️しっかり闇の帝王なヴォルさんを作りたいがための作品です！読んでくださってありがとうございます〜❤️ゆっくりな更新ではありますが、よろしくお願いいたします🙇 (9月16日 15時) (レス) id: 59f64f1814 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - たああああああああすき (9月9日 16時) (レス) @page37 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2021年8月25日 18時
