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「うそ、あいつ」
シリウス・ブラックが、あのブラック家の長男がグリフィンドールに選ばれた。
私は思わず口をぽかんと開けて、それを見る。だけどみんな気持ちは同じなようで、一斉にシリウスの方へ視線を寄せた。
あんなことを言っていたけれど、なんだかんだ絶対に、スリザリンに入るのだと思っていた。
ヒソヒソと、小さな声が広間に響く。
ちらりと隣を見ると、マリアはそれを無表情で見つめていた。それだけで絵になって美しいのだけれど、周りの子のように驚きを見せていない。それに心のどこかで違和感を感じながらも、いまの状況で口を聞けられるはずがなかった。
当然生徒の驚きを待ってはくれず、ミネルバ・マクゴナガル教授は次の名前を読み上げて行く。アルファベットの音を聞くたびに、心臓が跳ね上がる。緊張しすぎてもシリウスのことだなんて頭からすっ飛んで行っていた。
P……ピーター・ペティグリュー。ジェームズ・ポッター、(先ほどのクソメガネだ)と呼ばれて、ついに私の名前が呼ばれる。先生の口が動くのを見つめながら、私は生唾を飲み込んだ。
きっとグリフィンドールに選ばれるだろう。父も母も、姉も兄達も、みんなグリフィンドール出身で、それだから私もきっと。
「プルウェット・メアリア!」
名前が呼ばれて私は弾かれたように前へ出た。
そして、先生に言われるままに席に座る。前を見る。そこで、マリアと目があった。金髪に青い瞳。まるで女神の分身のように、美しいその姿。あの子、同じ寮になれたらどれだけ楽しいだろうか。
「スリザリン!」
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作者名:あんころころもち | 作者ホームページ:
作成日時:2020年8月7日 0時