ページ ページ5
しかしその前に、コンパートメントの扉が勢いよく開いたのだ。びっくりして、思わずそっちを見る。
「やあ、ここに入ってもいいだろうか？」
そう言って入ってきたのは、髪が爆発したような天然パーマのメガネだった。
「あんた誰だよ」
急に入ってきた少年に、思わず私は眉をひそめる。マリアも少し驚いたように、彼の顔を見ていた。
「口が悪いな。まあいいや。僕はジェームズ・ポッターだよ、よろしく。それからこっちは、」
「シリウス・ブラックだ」
「げっ」
「は？……うわ」
思わずそれが口から飛び出す。そこには端正な顔をした少年が立っていた。黒髪に灰色の目の美青年。
そして私の、恐れながらはとこ様でもある。こんなのとはとこだなんて思われたくないけど。
「なんでお前がここにいるんだ」
「私がどこにいたって私の勝手よ。あんたには関係ないわ」
「まあまあ、君たちどんな関係か知らないけど喧嘩はよしなよ、入るね。えっと、君の名前は？」
ズカズカともじゃメガネはコンパートメントの中に入ってマリアの前に座る。その素早さに、私は驚いて目を見張った。
てか、そこに座るなよ。
「私はマリア。えーっと、ミスター・ポッター。いかがなしたのかしら？」
「いやいや、少し探検をと思ってね。それからジェームズでいい。堅苦しいのは嫌いなんだ」
「おいジェームズ。もう行こうぜ。こんな女と同じ空気を吸うだなんて、何があっても嫌だね」
「は？」
いまにも喧嘩をしそうな私たち二人をみて、マリアはにこりと微笑んだ。そして言う。
「仲がいいのね、あなたたち」
「ほんとに。僕も今ちょうどそう思ったところだ」
うんうん、と笑い合う二人を見て、私は頬を膨らませる。
こいつと仲がいいように見えるだなんて、目が腐っているとしか思えないけれど、いつもなら「あんたの脳みそ腐ってるのか、かにみそなのかどっちかなんじゃないの！？」と怒鳴ってやるところだけれど、マリアに言われたのなら、なんとなく返せなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 18人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2020年8月7日 0時
