【ハリーポッター】とある《マリア》のはなし。【親世代】 (ページ22)

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「……」

　場所は保健室。カーテンの向こうにはプルウェットさんが座っていて、そしてベッドにはマギーさんが横たわっている。マリアさんは先生に事情を説明に行っていた。

　僕は、なんとなく入りづらいその雰囲気に、カーテンの裏側でじっとしていたのだ。

「なんで、私を助けたの？」

「別に」

「ほんっと、あなたのことが嫌いだわ。プルウェット。あなたなんかに借りを作りたくなかったのに」

「作らせるようなことをしたのが悪いんだろ」

「うざ」

　静かな罵り合いに、僕はやはり動けないままである。気まずくてすぐにでも逃げ出したいのだけれど先生に様子を見ていると言われた手前移動するわけにもいかない。

「そんなことして、マリアへのポイント稼ぎのおつもりかしら？」

「あんたに感謝なんてされようと思ってないから、好きなように言えばいい」

「……気持ち悪い女」

「あんたに言われる筋合いはないんだけど」

　ふん、と鼻を鳴らしたマギーさん。また、それはそれは気まずい沈黙が流れた。

　なぜ先生はマギーさんとプルウェットさんを残したんだろう。とてもじゃないが、仲がいいとは言えるような二人ではないだろう。

「……」

「……」

　それから黙ってしまった二人に、僕は心の中で大きく大きくため息をこぼしたのだった。