The first year.-Side M- ページ2
「ねえ、お願い。通してちょうだい」
金髪の少女が、困ったようにコンパートメントの前で男たちにそう言った。しかし彼らはニヤニヤと下品な笑みを作ったまま、その少女に迫っている。
少女は見るからに一年生で、同じように男たちは見るからに高学年だった。なんて下品な人たち。
「そう言わずにさ、いいじゃん。俺らと一緒のコンパートメントに入ろうぜ」
たしかに、彼女は誘われても不思議ではないくらいに美しい容姿をしていた。
まるで一級品のシルクのように美しい金色の髪に、サファイヤのように輝く青い瞳。困ったようなその顔にさえ、気品があって美しい。まるで天使のようだ。
__体が勝手に動いたのはそのせいだと思う。自分は思ったよりも面食いなのかもしれない。
「ちょっと、困ってんじゃない」
その間にぐいっと入り、私は男を睨む。するとその男たちは眉をひそめて、私を見下ろすのだ。
「なんだお前」
「あんたに関係ないでしょ」
「女のくせに」
「だからなに」
ばちばちと火花を散らしていると、横にいた、その天使のような女の子が、困ったように口を開く。
「あ、ああ、こんなところにいたのね。来てくれてありがとう。とっても助かったわ」
そして私の両手を包み込んで、それはそれは美しく笑ってみせた。私は困惑して、彼女の青い瞳を見る。
「は？」
「お話し相手になってくれて、本当にありがとう。でも、もう行かなくちゃ、通してくださる？」
それは丁寧に彼女が言うと、男たちは素直に道を譲った。数秒彼女を見つめた後、不機嫌そうに、私を睨む。私は当然それを丁寧に、睨み返してあげるのだった。
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作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2020年8月7日 0時
