蛇の僕と獅子の君。part11【ハーマイオニー・グレンジャー】

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場所は必要の部屋。ただ人になりたくて、一人で考えたくて、ふらふらと歩いていたのだ。そして見つけたのがこの部屋。必要の部屋だと気づくのに時間はかからなかった。

　自分の歩く音しか聞こえないその部屋は、少しドキドキして、だけれど心は踊らなかった。


　カツン、カツン、と音がする。例のあの人が復活してから、レギュラスさんは僕の前に現れなくなってしまった。今、僕は僕の心を、相談できる人などいないのだ。


　つみかさなったガラクタの上に、腰をかける。少し不安定だったけれどあまり気にならなかった。


　大きな部屋に、ちっぽけな僕。そのちっぽけな僕のちっぽけな悩み。だけれどそのちっぽけな悩みは、ちっぽけな僕には大きすぎるのだ。


　手のひらに顔を埋めて小さくなる。人が亡くなるのは、昔から怖い。敬愛するお祖母様がお亡くなりになられてから、それが怖くて怖くてたまらない。


　シリウス・ブラックが死んでからより一層、その恐怖は僕の心にしみついた。人が死ぬのはいつだって辛くて悲しい。誰にだって、その死を悲しむ人がいるのだ。

　だからこそ僕はマグルを殺したいと、支配したいとは思えない。マグルを生かし、導いていく存在でいては、なにがいけないのだろう。


　だけれどそれでは、もはや僕は純血主義とは名乗れない。純血の誇りを忘れた愚か者だと罵られ、今まで以上に、ブラックの立場を貶める。そんなことは、あってはならないのだ。なにがあっても。


「それでも僕は、」


　人を殺す人の下に、付くのは嫌だ。そんな人の下に、大切な友達が付くのも嫌だった。僕にとって純血は大切だけれど、あの人の純血主義にはついて行きたくない。


拳を握ってその指を見つめる。爪が食い込んで、赤く変色していた。


　そんな時、ドンッと、音が響いた。そちらを見ると、ガラクタの上に積まれたタンスがドタバタと暴れ始めた。思わず立ち上がり杖を構える。そんなことをする必要などないかもしれない。

　ただ、ドタバタ何かが暴れただけで、ホグワーツではよくあることじゃないか。

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