【ハリポタ】ハリーポッターと最後の星【黒家族】 (ページ49)

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49th【2年前】ページ49

ああ、自分はなんと愚かなのだろうか。

父親は考えました。子供の問いに、彼は嘘をついたのです。

タペストリーに書かれていた「A・ブラック」という妹は、生まれてすぐに死んだりしてはいませんでした。きっと今も、この屋敷のどこかで生きていることでしょう。

しかしどれだけ問いつめても、クリーチャーは口を破ることはありませんでした。命令だと言っても、どれだけ罵っても、彼は絶対に、それだけは口を開けなかったのです。

「ああ、A、約束一つ守れない俺を許してくれ」

どんっ、と壁を殴ります。そしてその場に座り込みました。自分のやったことに、後悔をしたことは一度だってありません。親友のために命をかけたことだって、このカビ臭い家を飛び出したのだって、何一つ悪いことだとは思わないのです。

だけれど、心残りはありました。小さな小さな妹を、こんな家に置いてきてしまったこと。約束を破ってしまったこと。いらない期待を持たせたこと。

彼の家族は愚かでした。純血という忌まわしい血筋だけを大切に、他を見ようとしなかったから。

母は人のいうことに耳を貸さなかったから、死んでまでもあんな呪いのような言葉を吐き出すのです。
弟は親のことをいうことしかしなかったから、無残にも殺されてしまったのです。
父のことは、彼はよく知りませんでした。決して向こうから関わろうとはしなかったし、きっと家族を愛していなかったのでしょう。

しかし不思議なことはありました。純血に固執する両親が、スクイブである妹をなぜあんなにも大事に育てたのかということ。

だけれど彼は、このまま一生知ることはありません。そしてそのまま、短い生を閉じてしまうのでした。