【ハリポタ】ハリーポッターと最後の星【黒家族】 (ページ46)

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46th【12年前】ページ46

母は、呆気なく亡くなりました。怒鳴り疲れて眠ったまま、そのまま息を引き取ったのです。母の葬儀にも、多くの人が集まりました。だけれどほとんどの人間が、バカにするように笑うのです。

「ブラック家も落ちたものだわ」

「聞きまして、シリウス・ブラックの噂」

「ああ、あれだけ騒いでおいて。問題なかったじゃない」

「でも十何人もマグルを殺したのよ。親に似てきちがいだわ」

悪意のある言葉が、意識せずとも耳に入り込みました。クリーチャーは大きな耳をふさぐこともなく、ただ、その場に座っているのです。

彼が考えているのは、今やブラック家の最後の娘だけでした。あの子だけは、何があても守らなければならないのです。あの笑顔だけは、何があっても、絶対に。

だけれど、いつまでこの嘘が押し通せるでしょうか。家族はみんな幸せで、仲良く暮らしていると、今は少し会えないだけで、元気でいると。

いつまで、隠し通せるのでしょうか。そんなこと、できるわけがありません。

「ああ、奥様。クリーチャーめを、どうかお助けくださいませ」

小さくそう呟きます。
溢れそうになる涙を必死に抑え、彼はとにかく自分の薄汚れた服の裾を握りしめるのです。