【ハリポタ】ハリーポッターと最後の星【黒家族】 (ページ37)

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「待って、A、ってあなた、もしかして」

「黙れ血を裏切る者め！」

女の子の前に、クリーチャーが飛び出しました。女の子は不安げに顔を歪めますが、すぐにキッと前を睨みました。怯んではならないと、そう、自分に言い聞かせます。

「言ってはいけない、ハリー・ポッター。お願いです、どうか」

「黙れ、クリーチャー。僕はお前とは話をしていない」

「……っ」

クリーチャーは大きな目で、ハリー・ポッターと呼ばれる男を睨みます。女の子は戸惑いつつも、その様子を伺っていました。

「あなたはシリウス・ブラックの、妹ですか？」

「……」

その真剣さに、女の子はどう答えれば良いやらわかりませんでした。困ったように視線を泳がせ、クリーチャーを見ます。しかし、彼は一向にこちらを見てはくれません。

「でも。A・ブラックはもう、亡くなっているはずじゃあ」

「え？」

男の言った言葉に、思わず女の子は呟きました。信じがたい言葉です。自分はこう、いきて、喋っているではありませんか。この男は、何を言っているのでしょうか。

「くりーちゃー」

女の子はか細い声でクリーチャーを呼びました。クリーチャーは何も言わないどころか、女の子の方すらも向きません。

「……クリーチャー！こちらを見なさい！」

女の子は怒鳴りました。困惑して、どうすればいいのかわからないというのに、唯一の便りである彼が、自分を助けてくれないだなんて、どういうことなのでしょうか。女の子は震える手を隠すように、ギュッと手を握ります。

「わたくしは、このA・ブラックは、このように生きていますわ。どういうこと？あなたはわたくしを、騙していたの？」

「……」

クリーチャーはそれでも何も言いませんでした。女の子はどうすればいいやらわかりません。見ず知らずの男たち。何も言わない屋敷しもべ妖精。

しかもその、何よりも信頼する屋敷しもべ妖精は、自分のことを騙していたかもしれないのです。