【ハリポタ】ハリーポッターと最後の星【黒家族】 (ページ22)

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22nd【11年前】ページ22

「もういや！」

その日、女の子の声が響きました。
珍しくボロボロと涙を流しながら、しもべ妖精に怒鳴りつけます。クリーチャーは悲しげに顔を歪ませながら、何も言い返しはしませんでした。

「なんで！わたくしが何をしたっていうの！もういやよ！どうしてなんで、ずっと、母様や父様や、兄様たちはわたくしに会いに来てくださらないの！？……どうして、ずっとこんな部屋にいなくちゃいけないの？」

涙が止まりません。後から後からこぼれてきます。女の子には一切わからないのです。家族が自分の元に訪れてくれない理由も、自分がこんな部屋にいないといけない理由も。

今まで必死に我慢していました。文句など言わず、会いに来てはくれない家族を切望する。兄たちは「学校」とやらに通っているのに、自分はこの部屋で、外も見えないつまらない部屋で、ただただ、待っているだけなのだから。

「なんで答えてくれないの！」

クリーチャーに怒鳴ります。しかしやはり、彼は何も言いません。そんなクリーチャーを見て、また、ふつふつと怒りが湧いてきました。

「普通の家族は、一緒にご飯を食べたり、ピクニックに行ったりするものなんだわ！でも、わたくし、一度だって行ったことないもの！もう何年も、母様も、父様も兄様もわたくしの元へいらっしゃらないわ！きっとわたくしのことなんて嫌いになられたのよ！」

「それは！」

初めて、クリーチャーが口を開きました。女の子はそれを睨みつけます。

「それは違います。A様。どうか、どうか、訂正をなさってください」

「何がわかるのよ！あなたは家族じゃないじゃない！」

ボロボロと涙が流れて止まりません。自分がこんな気持ちになるのも、その気持ちをクリーチャーにぶつけているのも、本当は、嫌で嫌でたまらないのです。

「出てって！出てってよ！」

それでもクリーチャーを怒鳴りつけました。彼は悲しげな顔をして、部屋を出て行きます。

パタンと音がして、女の子は一人泣き始めました。やるせない気持ちが大きすぎて、いったい何に当たればいいのかわかりません。わからないのです。

だから、クリーチャーにあたるしかない。

情けなくて情けなくてたまりません。でも、とても我慢できなかったのでした。