【ハリポタ】ハリーポッターと最後の星【黒家族】 (ページ17)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:92,376 hit

17th ページ17

さて、今日の舞台は女の子の部屋ではなく、父の執務室です。父は古い書物のたくさん詰まった本棚を見つめていました。どれもこれも思い入れの深いものばかりで、何度も読んでしまったけれど捨てられない宝物。

父は思い出します。その昔、この部屋に入り込んだ上の息子が一番下の段にある一番古い書物をビリビリに破いてしまったこと。その隣で下の息子は大きく泣いて、それで最愛の妻が彼らを叱咤したことを。

娘のことは大切でした。息子達と同じくらい、妻と同じくらい、平等に愛を注いでいるつもりでした。それだと言うのに、なぜ上の息子は家を出て、下の息子は失踪して、娘には何も言わずに幸せだと思い込ませているのでしょうか。

どこで、何を間違えたと言うのでしょうか。家を、歴史あるブラック家を守るために、死力を尽くしたつもりでした。それが息子たちのためになると心から信じていたのです。
どこで、何を間違えたと言うのでしょうか。

「ゴホッ、ゴホッ」

小さく、咳をしました。片手で口元を押さえます。その手のひらを見ると、そこには赤黒い液体が付いていました。父はそれを握りしめて、小さく「クリーチャー」と呟きます。

「いかがされましたか、旦那様」

そうするとすぐに現れるクリーチャー。彼は片膝をついて、父に言います。そんな彼を見て、父は目を伏せました。

クリーチャーは、レギュラスの所在を知っている。これはほとんど父の直感でした。だけれどそれを問わないのは、父が全てを察しているからでした。

忠誠心の強いクリーチャー。そんな彼が、レギュラスのことを知っているとすれば、自分に報告しないわけがないのです。ということはおそらくレギュラスが、硬くそれを禁じていたのでしょう。それがレギュラスの意思であるとするならば、無理に聞き出してはならないとそう感じていたのです。

「私はね、クリーチャー。この世に家族ほど、大切なものはないんだ。だからこの家に、強力な保護魔法をかけようと思っている」

にっこりと、父は皆を安心させる笑みで笑いました。