【ハリポタ】ハリーポッターと最後の星【黒家族】 (ページ14)

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「どうか泣かないでくださいませ。クリーチャーが悪うございました！A様。今すぐ料理を持ってまいりますので、どうか……」

「泣きません。わ、わたくしはほこり高き母様と父様の子供で、兄様たちの妹なのです。だからな、泣かないのです……ふぇ……」

虚勢を張りつつ涙を流し始める女の子。クリーチャーはパチンと指を鳴らし、彼女のお気に入りの本を持ってきました。

「A様の好きなご本でございますよ。どうかこれを読んで機嫌を直してください」

「……はい……」

女の子は両手で涙を拭き取ります。そして涙が引っ込んだ時、女の子はクリーチャーに問いました。

「そういえば、クリーチャー」

「なんでございましょうか？」

「レギュラス兄様はどこにいらっしゃいますの？」

「……ぇ」

その時、クリーチャーの顔から表情が消えました。女の子は思わず後ずさり、恐怖に本で顔を隠しました。
そして次に彼の顔を見てみれば、いつものような心配そうな顔に戻っています。

「レギュラス様は昨晩、学校にお戻りなられました」

もしかすると気のせいだったのかもしれない。女の子は思います。だっていつも優しいクリーチャーが、そんな表情をするはずがないのだから。

「そうなのですね。ならわたくし、絵本を読んでまいります」

ギュッと本を抱きしめた女の子の背中を押し、クリーチャーは部屋の外に出ます。その瞬間、今までの心配そうな顔は消え、何やら泣きそうな顔に変わりました。

「ああA様。愚かなクリーチャーめをお許しください。あなた様に嘘をつきました私めにどうか気付かずいてください。どうかあなた様はそのままで、いつまでも無垢でいてください。血を裏切るシリウス様のことも知らず、気高きレギュラス様の死も知らず、家族は穏便であると、いつまでも信じていてください。どうかどうか、A様だけは奥様とご主人様の可愛い娘でいらしてください」

クリーチャーは大きな瞳から溢れる涙を拭き取り、キッチンへ向かいました。